僕の家族はホストファザーとスペインからの留学生のJoelでした。ホストファザーは父親というよりも友達のような関係で、いつでもジョークをかわせる仲でした。Joelは僕がブラジルに来る前から留学が始まっていたので、半年でさよならとなってしまいましたが、同じ部屋で過ごしていたので、24時間一緒に同じ時間を共有していました。とても仲良くなり、Joelが帰国してしまう時は何度泣いたか分かりません。それだけ大切な存在でした。

ブラジルの先住民の生活を体験するプログラムに友達と一緒に行った写真です

僕の派遣先の町は小さな町で、ショッピングモールやゲームセンターなどはなかったため、学校のない日や週末はスポーツばかりしていました。学校ではフットサル部に所属し、バレーボールではMVPを頂きました。
特に長期の休みはよく友達と一緒にビーチバレーへ行き、知らない人達と混ざってプレーをしました。毎回知らない人達と行うため、そこで何人もの友達を作ることが出来ました。またストリートバスケで仲良くなったブラジルの子に誘われ、町のチームにも所属することが出来ました。他にも友達の家に行きみんなでゲームをして楽しんだり、友達の家族に日本食を作ってあげたりもしました。
学校の授業で日本の歴史について学んだ時に、アメリカを憎んでいるかなどディープな事を聞かれたり、日本の少子高齢化や北朝鮮との問題など深い内容を学んでいたりして驚きました。社会学の授業では世界の社会について学び、中国の歴史や発展途上国の問題などを探り発表し、生物の授業では生物の内臓などについて調べ、最終的にはみんなの前で発表したりもしました。

AFS体験を通じて、僕は視野を広げることができました。地球の裏側の中南米で多様性を学び、日本では考えられないことばかり体験しました。
1つ目に、今までは物事を表面上でしか考えていなかったことに気づきました。例えばブラジルは貧富の差が激しく、ホームレスやお金に困っている人が大勢います。スーパーや銀行の前に座っている人に「お金を恵んでください」と言われるのは日常です。ある日「なんでこの人達は働かないのだろう。お金を恵んでくれと乞うなら、働けばいいのに」と疑問に思いました。日本は人手不足で、働こうと思えばアルバイトのアプリで簡単に仕事を探すことができます。ではなぜブラジルの貧しい人は働かないのか、それは「貧困層が多すぎるために、働きたくても仕事がない」のです。僕は日本で生きてきたために、そんな簡単なことも思い当たりませんでした。今までブラジルは貧富の差が激しいと分かってはいたのですが、それは表面上の理解でした。実際に見て感じて考えて、より深く理解することができました。

友達みんなで旅行に行った時の写真です

2つ目に、学がないと楽しめるものも楽しめないことを痛感しました。僕はもともとコミュニケーション能力が高い方だと思っていました。ですがブラジルは英語が通じない人がほとんどの国です。そのため、最初はポルトガル語が全然喋れなかった僕はコミュニケーションを取りたくても会話が続かず、ものすごく悔しい思いをしました。一時期は英語が話せる人とばかり遊んでいましたが、みんなと仲良くなりたいという気持ちからポルトガル語を頑張って勉強して、ブラジル人の友達を多く作ることが出来ました。

3つ目に、ブラジルの私立高校と公立高校では大きく質が異なります。私立高校は銃を持った見張りの人が常にいて、防犯カメラで管理され安全です。公立高校では家族の為に働かないといけないため、学校をやめて仕事をする生徒もいます。日本では勉強できるのは当たり前で、勉強をするかしないかは自分で決めることができます。日々の日常がとても恵まれていることに気づきました。日本で大学に進学しても、日常の幸せを忘れず勉強していきたいと思います。
この1年間は、僕の人生を変えてくれました。本当にありがとうございました。

三菱商事高校生海外留学奨学金奨学生
2023年・70期 ブラジル派遣 / I・Sさん

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