僕はエーゲ海北東部のリムノス島という、日本人にはほとんど知られていない島に留学しています。車に乗って島を移動すると、見える景色はだだっ広い草原や丘とそこで草を食んでいる牛や羊。住んでいた東京は正反対の環境です。
高校は島で1番大きい町ミリナにあり、僕は毎日ホームステイ先からバスで40分ほど揺られながら通っています。授業は基本6限または7限で、8時15分に始まって2時までには学校が終わります。僕は再びバスに乗って家に帰り、ホストファミリーと昼食を食べたら、その後は部屋で学校の勉強をしたり映画を見たりと、まったりとした時間を過ごしてその日の休息を取る、というのが大まかな平日の過ごし方です。
この半年間を一言で表すと、「自分と対話する期間」でした。
ここでの生活は東京にいるときと比べるとのんびりとしていて更に一人になる時間も長いです。そして文化も言語も違う他所者としてイチから交友関係を築かなくてはいけないという経験はありのままの僕が試されるような感覚です。僕は元々学校のような大人数が集まりコミュニケーションを取り合うような環境があまり得意でなく、疲れを感じやすい性格です。だから友達作りは他の留学生より苦労して今でも色々と考えます。今までどのような人とどんな会話をして関係を築いていったのか。言語も文化も違うのでそんな当たり前なことを深く考えるようになりました。
それでも何人か友達と呼べるような人ができたのは僕が留学に来て1番良かったことです。僕の拙い言語にも初めから向き合ってくれて、拙い英語で色々と伝えようとしてくれる彼らには感謝しかありません。
以前他の留学生から今までの留学生活で1番楽しかったのは何かと聞かれました。僕は色々あったイベントも思い浮かべたのですが、そのどれよりもただ友達と話している時間が最も楽しいときだと気づきました。他の人と比べると僕の留学生活は単調でつまらないように見えるかもしれません。それでも慣れた生活、蓄積してきた経験から離れて右も左もわからない環境に飛び込んだことで、自分の 1番大切なものを知れたというのは何よりも貴重な経験のように思います。
三菱商事高校生海外留学奨学金奨学生
2023年・71期 ギリシャ派遣 / T.Sさん
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