前回のレポートを提出してから2か月が経ち、私は今、日本にいます。自分の部屋でベッドに横になっていると、「あれ、なんで私今このベッドで寝ているんだろう」と、帰国から1か月が経った今でも考えます。

2月にレポートを提出した時点では、オランダには1人も感染者がいませんでした。しかしイタリア北部からの帰国者がコロナウイルスに感染していたと報道されてから帰国までの1か月で、オランダの感染者数はなんと1万人にまで膨れ上がっていました。
オランダは九州ほどの面積しかない小さな国なので、国民が仕事で全国を移動するということが日常です。イタリアへの留学生が早期帰国になってからは、感染者数の増加がまるで早期帰国へのカウントダウンのように思え、毎日ニュースを確認するのが辛かったです。

地域のアクティビティのグループでパーティーをしている様子

感染者の増加に比例するかのように、コロナウイルスを理由に差別を受けることが多くなりました。街中でコロナ!コロナ!と叫ばれる度に悔しくなり、1人で外を出歩くことも億劫になりました。このままではいけないと思い、近所の障がい者施設でボランティアを始めました。新しく出来た自分の居場所では、どこから来たの?、将来の夢は何?という留学1か月目に戻ったかのような質問から始まり、しかしあの頃よりも間違いなく成長したオランダ語で返答することができたことは、自信に繋がり、暗くなり始めていた自分を切り替えてくれました。障がいを持つ、しかも言語が違う方々と接することは決して簡単とは言えませんでしたが、新しい自分の居場所を作ることが出来て毎日が充実していました。

ダンスチームででた地域の発表会 

しかしその生活も長くは続かず、3月14日に早期帰国の知らせが届き、15日には学校の休校が決定したので最後に友達に会うことも出来ずに18日に日本へ帰国しました。ヨーロッパの感染者数が増え始め、周りの国の留学生に早期帰国の知らせが届いてからは、明日帰国になるのは自分かもしれないという恐怖が常にまとわりついていてストレスから寝れなくなっていました。今思えばあのまま留学を続けていてもコロナウイルスという終わりの見えないストレスを抱えながらの留学は良いものにはなっていなかったと思います。

AFSの友達とアクティビティに参加している様子

それでもやはり、残りの4か月を向こうで過ごしていたらな、と考えずにはいられません。特に非英語圏への留学生はこれからもっと広い世界が見えてくる時期だったと思います。気を抜くとうじうじ悩んでしまいますが、この7か月間、素晴らしいホストファミリー、友人、地域の方々に恵まれ、オランダ人の優しさに触れることが出来た本当に素敵な7か月でした。
ホストファミリーや友人に直接感謝をするのはもちろんですが、将来、オランダという国にも何らかの形でこの感謝を返せたらいいなと思っています。そしてこの素晴らしい経験をサポートしていただいた森村豊明会様、本当にありがとうございました。

ホストファザー、マザーとの空港での写真

最後にこれから留学する皆さんへ、これからコロナウイルスに対するワクチンが完成してウイルス自体が消え去ったとしても、しばらくの間はアジア人に対する偏見や差別が酷くなると思います。理不尽なことで悔しい思いをすることがあるかもしれません。しかし悔しい思いをしている間にも、今回のように自分の落ち度ではない早期帰国がすぐそこに迫っているかもしれません。差別をするような人たちのことを考えることに貴重な時間を使うのではなく、本当に自分を大事に思ってくれている人たちとの時間を大切に過ごして、いつ帰国が決まっても後悔はないと思えるような留学生活を送ってください。
Dank je wel

AFS66期・2019年派遣 森村豊明会高校留学奨学金生
オランダ派遣 / 上杉 花梨

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