7か月という、長そうでとても短かった留学生活を終えて一番感じたことは、一言で言い表すことは難しいですが、人の温かみに触れることが出来たこと、新しい自分の一面を見つけることが出来たことだと思います。

毎年クリスマスの時期になるとお店に売られたり家で作られたりするフィンランドのお菓子「Piparkakku(ジンジャークッキー)」を二人の妹と作っていた時に撮られていた写真です。写真はまだ生地をこねている段階ですが、この後型を抜いてオーブンで焼き、アイシングで絵を描いてクリスマスの日まで食べないで待っていました。時々一番下の妹と秘密で食べようとしていたのが何だかかわいらしい思い出で忘れられません。

帰国の日、駅まで送り届けてくれた私のホストファミリーは7人兄弟というとても大きな家族でした。日本に暮らしているときには想像もしてみなかった「牛乳10本まとめ買い」、5人が定員の車に大きい子の上や車のトランクに押し込まれてラップランドまでの6時間移動、クリスマスにはとても大きな袋を2つも抱えたサンタさんが家まで来てくれたこと、ファミリーが見つけて教えてくれた大きなオーロラ、ホストシスターと沢山語りあった夜は忘れられません。
住んでいる場所も気候も文化もまるで違う私を本当の娘のようにかわいがってくれたホストペアレンツ、本当の兄弟のように慕ってくれたホストシスターやホストブラザー、私が自分で日本人だと忘れてしまうくらい自然に仲良くしてくれたホストスクールの友達。現地の人たちにとっては普通のことかもしれませんが、わたしにとってはそれが本当に嬉しくて、帰国して日本の日常に慣れてきた今、彼らのありがたさを留学していた時以上に実感しています。

一番左(私)から、サンタさんのお手伝いをする小人、「tonttu(トントゥ)」 真ん中(ホスト姉)がサンタさん 一番右(ホスト妹)がサンタさんの奥さん に扮して、いとこの家にプレゼント配りに行った時の写真です。

私は町からも遠く、人口が少ないとても小さい町に住んでいてあまり大きな街に出かける機会は多くなく、フィンランドの有名な場所に行く機会はほとんどありませんでした。でもそのおかげでファミリーとの時間をたくさん持つことが出来たし、フィンランドの自然も当然のように感じることが出来ました。

また、日本のように放課後や土日に友達と外出することが少なかった留学中は、日本では見向きもしなかった自然をきれいだなと感じることができたり、少し一人で歩きに行こうかな、と思えたりするほどほのぼの、ゆっくりと時が流れていました。だからこそ、留学という今までに経験のない環境下に置かれている自分のことについて考える時間がときには嫌になるほどたくさんあり、日本で何も考えずに過ごしていたら考えもしないような、見つけられないような自分に関する発見をできたし、実行できるかは分からないけれどこう生きたい、というのを漠然と考えることができたような気がします。

フィンランドの伝統的な高校生2年生の行事、「Wanhat」 のときの写真です。3年生が受験や将来のことに向けて休み始める前にこのプロムをしています。確かかは覚えていませんが、3年生に「ぼくたち私たちにこの学校は任せてね」というような意味合いも込められていると聞いたことがあったような気がします。 友達や先生の全面的な協力の下、高校一年生だったわたしも参加させてもらえ、素敵な夢のような経験が出来ました。

その中でも、今までは「この大学に進学して、保育士や小学校の先生になりたい」とはっきり考えていた自分の将来の夢がふとした瞬間に分からなくなり、自分のやりたいことと向いていることが同じじゃないと不安になった時は自分でとても衝撃を受けました。
フィンランドの教育は自分の予想していた通りとても進んでいたし、みんな物怖じしないで私に話しかけられるほどの英語力をもっていました。自分の英語力の無さに情けなさを覚えるとともに、日本とフィンランドの授業などの仕組みの違いに驚きの連続でした。

一番上で説明した3年生の休み前の大きな行事「Penkkarit」の時に、仲良くしてくれた友達と一緒に撮った写真です。高3生以外は普通に授業があるのですが、コスプレをした3年生がキャンディをばら撒きに来たり水を吹きかけて来たりと日本ではありえない独特な行事を経験できてとても面白かったです。すれ違った仲のいい先輩には顔にリップスティックで落書きをされてしまいます。

周りの言っていることが少しずつ理解できるようになってきて、自分の言いたいことも簡単になら伝えられるようになってきて、友達が遠出しようと誘ってくれて、もうひと段階成長できそう。そんな中で早期帰国になってしまい、悔しい思いでいっぱいではありますが、この無念な終わり方ができたから、もう一度フィンランドに帰りたいという思いは人一倍あるだろうし、そのための努力も惜しみなくしようと思えています。機会があればもう一度フィンランドに行って、上手に話せなかったフィンランド語を流ちょうに話して、できなかった観光を思う存分したいです。

東海東京財団留学奨学金奨学生
AFS66期生 フィンランド派遣 / 島内 真奈

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この記事のカテゴリー: フィンランド 年間留学体験談