文化の違いを受け入れると一口に言うけれど、留学に来る前の16年間、日本の文化が当たり前だった私にとって、それは本当に大変なことだった。
まずは座り方。
マレーシアの学校では日本と同じように毎週月曜日の朝に全校集会が行われる。日本では、体操座りが基本であり、この座り方で小学校のころから長時間床に座ることを耐え抜き、鍛えぬいてきた。しかしながらマレーシアに来て、この座り方をしていたら、友達、学校の先生、ホストファミリー皆に怒られてしまった。マレーシアでは、この座り方はいわゆる<セクシー>と呼ばれるらしい。
そしてマレーシアでの正しい座り方は胡坐をかく座り方である。私も含めて胡坐をかく座り方に抵抗がある人も多いだろう。私のイメージでは胡坐は一般的に男性が座る座り方であり、集会などの正式な集まりでは胡坐をかいてはいけないと暗黙の了解であると思っている。
まず、学校の集会で胡坐をかかなければならないという羞恥心が第一の私の中の抵抗であった。そして何より、30分間、時には1時間という長時間この座り方で耐えなければいけない。気を抜くと体操座りしてしまいそうになる。慣れないうちはすごく辛かった。でも、そういった本当に日常の中の細かな部分に異文化の新しい発見ができて、とても興味深いと感じた。
次に、言語について。
マレーシアは主にマレー系、インド系、中華系の人々によって構成されていて、それぞれ異なった文化、言語、宗教を持っている。私は普段英語とマレー語を主に使っていて、マンダリンやタミール語は話せない。しかしマレーシアのマレー語は独特でマンダリンや英語、タミール語が全部ごちゃ混ぜなので知らないうちにマンダリンやタミール語の単語を覚えているということもしばしば起こる。マレーシア人の会話をよく聞いていると一人は英語を話して、もうひとりは、マレー語で答えている。私が、2週間だけ中華系ファミリーに行った時も、ホストマザーとホストファザーが半分英語、半分マンダリンで話していて、突然ホストマザーにあなたもそう思うでしょと聞かれ、いや会話の半分しかわかりませんと答えたのも記憶に新しい。
AFSでの留学だからこそ学べたこと、気づけたことがたくさんある。
周りの方々、現地のボランティアの方々、日本から支えてくださっている全ての方へ感謝を忘れず、残りあとわずかの日々の大切さをかみしめながら過ごしていきたいと思う。
2019年・AFS66期 / 森村豊明会奨学金
マレーシア派遣 山口晏奈
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