あまりにも突然に終わってしまったイタリア留学生活。
早期帰国が決まった時、私の住んでいた地域はロックダウンがすでに始まって、学校も臨時休校になっていて、大切な友達に会ってお別れをすることもできなかった。
心の準備もできないまま、通知を受け取った2日後には家族と別れた。喪失感、いきなり日本での普段の生活に戻った違和感、やるせない気持ち、そしてイタリアで感染が爆発的に進んでいくのを遠くから見ていることしかできない自分がとても無力に感じた。
まだ現地で生活していたはずの自分が、もう写真を見ながら思い出に浸っている。まだまだ行きたかった街、食べたかったもの、見たかったもの、達成したかったことなど山ほどあった。しかしそれでも、私がイタリアで過ごした6か月は、自分自身のことを知り、新しい人やものに触れ、自分を成長させることができた、最も充実した期間だった。
この留学を通し私が得たものは本当にたくさんある。
まず、かけがえのない友達、仲間そして家族ができた。私の家族は、私を本当の家族の一員として受け入れてくれた。その中でも特に、5つ上のシスターは、私の最高の理解者で、その誰にでも愛される明るい姿は、私の憧れでもあった。
そして、私の周りには国問わずたくさんの素晴らしい人たちがいて、いつも明るく、私が悩んで落ち込んでいるときに話を聞いてくれた。特に留学仲間は、おなじ境遇の中での、それぞれの留学に対する姿勢などが自分のモチベーションにつながった。また、世界中に友達ができたことは何よりもうれしかった。
そして、留学中に消極的になっていた私をイタリア人の明るさが何度も元気づけてくれた。なんでも意見がはっきりしているところや、食を大切にしているところ、愛を素直に表現するところ。そんな日常の中にあるイタリア人のあたりまえが、私にはとても新鮮だった。
最後に、私にとってこの留学の意義とは「自分自身を知ること」だったと思う。
明確な目標もないまま日本を発ってしまい、周りに流されてばっかりで、留学に来た意味や、自分がわからなくなったことがあった。また、自己嫌悪に陥って、本当の自分の気持ちを伝えられないことや、その一瞬の楽しい瞬間を自分から退けてしまい後悔もした。そんな中で「自分」という壁に何度もぶち当たって、少しずつ自分のありたい姿や目標が見えてきた。
楽しいこと、辛いこと、すべてを含めての「留学」であるから、これを通して経験し、学んだことを、ここで終わらせるのではなく、自分自身のこれからや、そして周りにも、いろんな形でつなげていきたい。
AFS66期・2019年派遣
イタリア 高橋えりか
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