時はまた瞬く間に過ぎていった。日本を出発し留学生として初めてオランダに足を踏み入れたあの日がつい一か月前の様に今でも鮮明に覚えている。
自分にとってこの一年間という時間は長いようで本当に短かった。
自分の留学生活を今振り返ってみると、決して楽しいことばかりではなかった。しかし、これだけは言い切ることが出来る。
「自分はオランダで濃密な時間を過ごし確実に成長することが出来た。」と。
新しい事に果敢に挑戦した。問題があれば自分から改善しようと努力した。失敗したり、努力が報われなかったりした事もあった。しかし、どんな状況においても完全に諦める事は決してしなかった。
スポーツジムでの柔道、筋力トレーニング。それを通して出来た友達との交流。ホストブラザーたちとの言語の教え合いや会話、ジョーク、ディスカッション。教会では、人種を超えて宗教観や国、文化、自分自身について大人たちと会話した。また、ファザーや仲間たちと託児ボランティアを手伝った。例を挙げだしたら際限がない。
そのような充実した時間の中でたくさんの事を学ぶことが出来た。その中でも、自分の中で成長することが出来たと思える部分が一つある。それは人と繋がり主体性を持って行動することである。
自分は留学する前や留学してからまだ日が浅かった頃、主体性を持ち行動することが出来ていなかった。自分が現状に満足していない状況でも、誰かが助けてくれ変化を齎してくれる事を期待していた。それに加え、自分でしか解決出来ないと思い込み、自分の周りにいる人々を信頼し相談したり対話したりする事が自分には欠けていた。
実際に僕は留学中、学校で問題を抱えていた。しかし、コンタクトパーソンやメンターの人を信頼し自分から相談することが出来なかった。自分で何とかしようと孤独に努力し続けた。気づけばただただ無為に時間だけが過ぎていた。
そんな光のない闇の中で自分は何をすべきか、何をしにオランダまで来たのか。気づいた時には、目的とモチベーションを見失い、学校を一か月程休んだ。この様な状況の中でも希望をくれたのはホストファミリーの皆であった。
僕がどんな状況でもいつも変わらずに接してくれた。話を聞いて、理解しようとしてくれた。本当の家族のように受け入れてくれた。これがどれだけ僕の救いになったか本当に言葉では言い表せられない。
そんな中で一か月間自分自身を見直して、問題に真正面から向き合い改善するように心に決めた。そして、ファミリーの人々や学校のメンターと対話し、僕の学校生活は改善した。
この様にオランダという日本とは180度違った文化の中で人と繋がり主体性を持って行動することの大切さに気づくことが出来た。この経験は自分の将来の夢であるエンジニアとして人の役に立つという事や、同じような状況にある子供たちの力となること、又、家族を持ったり生徒を受け入れたりする状況に於いて僕のホストファミリーの様に良い方向に導くことが出来るであろう。
異文化の中で一人の日本人として過ごしたこの一年間。大切なことに沢山気づき学ぶことが出来た。この一年間という時間は私のこれからの人生の中で大きな意味を持ち、分岐点となった事を確信している。
そんな唯一無二の経験をサポートして頂いた森村豊明会様、AFSの方々、ホストファミリー、日本の家族、そしてオランダで出会ったすべての人々に感謝している。
森村豊明会 高校留学奨学金 奨学生
AFS 65期オランダ派遣 / 杉本 潤哉
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