まだ暗い極夜の中での通学路。鼻の中が凍る感覚。想像したより、遥かに壮大な経験が自分を待っていました。
私はフィンランドのタンペレという都市に行くことになりました。街を囲んでいる二つの大きな湖は、癒しの観光地として様々な人が訪れます。
今回の留学を自然豊かな四季になぞらえて報告したいと思います。
新しい生活が始まった秋。
ホストファミリーとの出会いは、緊張でよく覚えてないのですが駅を降りて街を見渡すと異国の地に来た実感がわきました。まだまだ英語の交流には自信が持てませんでしたが、生活していく上での規則を理解しようと心がけました。
また、自分のホストスクールには二人いるホストシスターのうちの一人が通っていました。周りに馴染めない生活が続きましたが、持ち前の度胸で乗り越えられる出来事がありました。
体育の授業の場所を間違えてしまったときです。私はフィンランドの友達に初めて場所を聞いて、二人で走って変更された場所に行ったのです。その話しかけた子が、初めての友達になりました。
試練が待ち受けていた冬。
まず、気候の違いにはとても驚かされました。日が沈む時間はだいたい午後3時くらい。気温は平均マイナス10度くらい。サウナに行き、凍った湖に穴をあけたところに飛び込んだ時の感覚は今でも忘れられないほど痛くて凍ってしまうようでした。
しかし、問題は気候だけではありませんでした。ホストファミリーとは英語で議論できないことから、手伝いの役割分担でのすれ違いが生じてしまいました。いつも自分だけ手伝わされている気持ちになり、短い日の長さも心を暗くしました。
そしてフィンランドに到着した時から聞かされていたことで、ファミリーの事情でファミリーチェンジをする時期も近づいていました。
全てが上手くいっていない自分の支えになったのが、現地の友達でした。一緒に授業を受け絆が深まっていく中で、フィンランドの実生活について知ることができました。
フィンランド人のシャイだという多くの方の印象は、たぶん初めて出会う場合のことだと思います。一度仲良くなると、ずっと友達で温かい人がほとんどです。
新しい生活に溶け込めていけた春。
新しいファミリーに移ってからは、同じフィンランド国内での生活環境の違いを楽しみながら、頑張ることができました。二つ目のファミリーには大きなおもしろいファザー、おしとやかで優しいマザー、二人のブラザーがいました。英語も上達したのでフィンランド語も織り交ぜながら、楽しく過ごせました。
学校までの距離が長かったのが難点でしたが、ファミリーも学校の友達とも一緒に過ごしたかったので通学で苦にはならなかったです。友達とは買い物をしたり、アイスホッケーを見たり、トレーニングをしました。
今思うと、ファミリーチェンジも良い経験でした。二つの家族がフィンランドにいることは、その分視野が広がったということです。一つのファミリーしか楽しくないという偏見を持たないようにしてほしいと考えます。
そして友達と別れる日。出発する駅まで見送ってもらい、また会おうねと手を振りあいました。
これらのフィンランドの留学生活を振り返って、留学が自分を今以上に高められる経験になったと思います。
留学の目的が、まだ知らない自分を見つけることであるという人も少なくありません。しかし、日本での実生活をおろそかにする高校生が海外という大きな舞台で、力を発揮することができるでしょうか?
私は何事も一生懸命にして、もっと強みを伸ばす舞台に留学生活があると信じています。実際、私は日本の良さをフィンランドで発見しました。今は部活に勉強に、留学扱いになった分のブランクを取り戻す気で励んでいます。それはフィンランドで得た、課題を自分で解決する能力とうまく生きる方法があるからです。
海外進学に興味がなくても、一年間の留学を通して日本国内にもっと貢献することも可能です。ぜひ、多くの高校生が海外留学にチャレンジしてほしいなと思います。そして、この留学体験記が役立ってくれれば幸いです。
第63期 フィンランド派遣 立野 寛太
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