僕の住んでいるインドのグジャラートという州には、肉や魚は一生食べない生活を送るベジタリアンと呼ばれる人々が多いです。
なかにはピュアベジと呼ばれる、卵さえ食べない人も大勢います。僕のホストファミリーは厳格なピュアベジです。
実は、僕は一度食べ物に関して問題を起こしてしまいました。
恥ずかしい話ですが、僕は魚粉入りと知りつつも日本のカップラーメンを送ってもらいました。黙っていれば、食べてくれるだろうと。これは大きな過ちだったんです。
当然インドの家族はラーメンの材料について詳しく聞き、僕は正直に答えました。日本では「食べ物は食べ物」ですが、インドではベジ・ノンベジの認識があります。全員にあります。たとえほんの少しの鰹節でも、それを含む料理はノンベジとなるんです。
インドの家族は、僕に「家のなかにノンベジの食べ物をおくことはできない。もしノンベジを食べたいのなら、ファミリーチェンジも考える。それだけうちは厳しいんだよ。駿輔には、たとえ家の外でも、ベジ料理を食べてほしい」と言いました。
たまに学校の給食で卵を食べていた僕にとって、この言葉は衝撃的でした。
実は、インドのホストファミリーが留学生の食をどう考えるのかは人ぞれぞれです。
「今までノンベジを食べてきた子に、ベジを強要するのは難しい。家ではベジ料理を食べてもらうが、外なら何を食べても構わない」というホストマザーもいます。
僕の家族は強要しますが、家族は我が子のように思ってくれているのだなと実感します。以来、学校でもノンベジ料理は食べていません。
僕の場合、個人の宗教的理由ではなく、家族の一員でありたいがためなのですが、ある現地のAFSボランティアさんの言葉ははっきり覚えています。
「こういう食に関する問題はよく起こる。キミは食を選べるけど、彼ら(僕のホストファミリー)は選べない。宗教を選ぶことはできないんだ。それを知ってほしい」
2016年2月 広島市高校生交換留学生奨学生
AFS62期 インド派遣 / 平田駿輔
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