タイに留学中、私は二つの街に住んだ。一つは首都バンコク。もう一つは南部の田舎町。
環境を途中で変えることが、最初は不安だった。しかし二つの場所を知ることができた今、それは大きな宝物だ。

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二つの街に住んだのには理由がある。スクールチェンジをしたからだ。仲の良い友達・慣れ親しんだ環境と別れ、全く知らない新しい環境に飛び込むことになった。
いろいろな気持ちが混ざったチェンジ先行きのバスほど、時間の流れが遅く感じられたことはない。

チェンジ先は温かい家庭だった。学校では新しい友達がたくさんできた。チェンジから帰国までの4カ月は、人生の中で一番笑顔が素敵だった時期だ。
留学で太らなければもっと可愛かっただろうと思うと、少し悔しくもあるが。

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父の日(現国王ラマ9世の誕生日)にファミリーと

スクールチェンジの一番の収穫は、他の人よりたくさんの知識を得られた事だ。
東京にも迫るかの勢いの大都市バンコク。800万人の人口を抱え、高層ビルの谷間に家が埋もれているこの街の朝は、渋滞から始まる。窓が開けっぱなしのバスで臭い排気ガスを吸った後、学校で友達と真面目に勉強。
休日はオシャレをしてショッピングをして、美味しいご飯を食べに行った。

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家の近所の海から

一方、人口が5万人しかいない南部の田舎街。ヤシの林とパイナップルの畑、エメラルド色の海に囲まれて、時間は牛の歩みのようにゆっくり過ぎていく。信号が一つしかない街の中心に出れば、知り合いに会わない日はない。
敷地が無駄に広い学校では、授業を中止に追い込もうと画策するクラスメイトと、宿題以外は緩い先生たちが活躍。
休日は家族と海や滝、お寺に出かけて、小さなバカンスを満喫。裏庭の池にカニを取りに行くこともあった。
同じ国でも全く違う環境。贅沢なことに、二つも体験できたのだ。

この一年は、私にとって試練の一年だったといえる。悩んだ回数、苦しんだ回数は数え切れない。けれど、多くの知識を得ることができ、人間的に成長することができた。
たくさんの経験を生み出してくれた私を支えてくれた全ての人、また留学の舞台となった二つの全く違う街に感謝している。

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学校最終日に友達と

2016年3月 クン・サナン奨学金受給生
AFS62期 タイ派遣/  鈴木璃子

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