アメリカ合衆国最小の州ロードアイランドでの10ヶ月は、私の人生に大きな影響を及ぼしました。学校の先生、クラスメート、LP(担当ボランティア)、他国からのAFS生など数えきれないほどの刺激的な出会いがあった中で、ホストシスターと過ごした時間は、私にとって特別な意味を持っています。
生まれてからの15年間をずっひとりっ子として生きてきた私にとって、10歳のホストシスターと一緒に暮らすことは容易ではありませんでした。
初めて大きな口論になったのは到着してちょうど2週間後。赤の他人だったはずのひとりっ子同士が「姉妹」として生活しなければいけないという奇妙な状況の中、知らず知らずのうちに蓄積していたストレスが爆発したのです。
数時間後に妹から謝罪を受け、お互いに反省しましたが、年上の私が妹よりも多くの自由を与えられていたために理不尽に恨まれたり、「日本人」というだけで注目を集めることが嫉妬の対象になったり、その後も一年中くだらない理由でトラブルを起こしていました。
そんなあるとき、ホストマザーとホストシスターが交通事故に遭い、ホストシスターが全治6週間の怪我を負いました。いつも彼女の生意気な言動に腹を立てて言い争っていたのに、事故の知らせを聞いてから病院で生きていることを確認するまでに味わった妹を失うかもしれないという恐怖は、まさに悪夢のようでした。そんな状況に陥ってようやく自分が妹をいかに大切に思っているかを痛いほど実感したのです。
それから暫くはどんなに妹が癪に障ることをしてきても優しくしようと決心したものの、結局、帰国直前まで喧嘩の日々は続きました。
そうやってホストシスターと口論になるたびに「子供のいない家庭に配属されていればどんなに楽だっただろう」と思い悩んだけれども、彼女と一緒に一年分の苦楽を乗り越えた今だからこそ、ホストチェンジをしなくてよかったと断言できます。
強烈な怒りや悲しみなどの負の感情を上手く発散すること、多少の腹立たしい出来事を水に流して気分よく生活すること、相手を尊重しつつ自分の気持ちや要求を的確に伝えること、私にとってはどれも妹の存在なくしては身に着けることのできなかったスキルです。
喧嘩をして傷ついた分、たくさんのことを学び、強くなり、姉妹の絆というかけがえのないものを手に入れました。
ある日突然異国の地から渡ってきた私を姉として受け入れてくれたホストシスター、そして私を実の娘のように愛して全面的にサポートしてくれたホストペアレンツには、いくら感謝しても足りません。彼らを私の「家族」と呼べることを、何よりも誇りに思います。
2015年8月 アメリカ派遣
AFS61期生/ボランティア奨学生 舟橋アイシャ
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