異宗教を認め、自宗教を尊敬する
ほとんどのインドネシア人はイスラム教を信仰しているので、イスラム教中心の生活となっています。
私のホストファミリーもそうです。彼らは一日五回のお祈りをし、豚肉とアルコールを口にすることを許されていません。食品ほとんどにはイスラム教徒の食べられるマークがあり、イスラム教徒はモスクでお祈りをするので、街の全ての施設やお店、例えば、ガソリンスタンドやマクドナルドにはモスクが建てられているのが常識です。
朝4時からは街のスピーカーからアザールというイスラム教のお祈りの為のものが流れます。そして、学校ではイスラム教徒の女子はヒマールというのを被り、毎週金曜日はイスラム教徒にとって特別で、イスラム教徒の生徒は制服のシャツをイスラムの服を着て、男子は12時になるとモスクに集まり全校生徒、先生も一緒にお祈りをします。そして、毎授業お祈りして授業を始めます。
宗教勉強の科目があり、生徒もほとんどがイスラム教徒であるため、イスラム教の授業は教室で行われるのに対し、キリスト教の授業は全学年まとめて別の日に行われます。
最初私はイスラム教徒が優先されているのではないかと疑問に思いました。しかし、それは違い、インドネシア人は自分の宗教の素晴らしさに気づき他宗教も同じように考えていました。
宗教の違いに苦しんだことがあるかと聞いたときも彼らの答えはNO。自分の宗教に満足し、どう生きるのか考えているのです。日本で私は宗教のことを気にしたことがありませんでした。しかし、ここでの生活を通して私はお祈りも食事制限もありませんが、宗教同士争うのでもなく羨むのでもないインドネシア人の宗教に対する観点から宗教を持つことの素晴らしさに気づけました。
コミュニケーションの違い
日本では握手は会う度にしませんし、相手を上げ褒めることでコミュニケーションをとろうとしますが、インドネシアでは会えば「やっほー、元気?ごはん食べた?」という挨拶が普通で、仲の良い友達だと「太ったね」「あれ、一人なの?」なんて言われます。
本当のことでもない酷いことも言い合い、まるで自分が一番よとも言いそうな感じで…インドネシア人はジョークが大好きですぐ信じ込んでしまう私は何度も騙されてしまいました。
また、先生や両親など年上の方への挨拶は特殊で右手と右手で握手をし、年上の方の右手を自分の顔に近づけます。会う度にこの挨拶で、これは年上の方への尊敬を示しています。
ルーズだからこその学校
インドネシア人は基本的に時間を守りません。なので、学校は7時から始まるのに、先生が遅れてくる、または来ないというのが毎日のこと。日本ならきっと自習になっているでしょうが、インドネシアだとパソコンを使って映画を見たり、カンティンという日本でいうなら食堂や購買のような所でご飯を買ったりお菓子や揚げ物を買ったりしています。
このだらだらさに衝撃を受けましたが、授業態度にも衝撃を受けました。みんな先生の話を夢中で聞き、疑問に思ったことはすぐに質問し、とても熱心に授業を受けています。寝ている生徒は一人もいなく90分間ずっと先生と生徒のやり取りが繰り広げられます。
インドネシアで一番嬉しかったこと
インドネシアで一番嬉しかったことは、日本のことを大好きだと言ってくれる人が多いことです。インドネシアでは日本ブームで、車やバイクは日本の会社、日本料理のレストラン、テレビで日本のアニメの放送、また日本のイベントも開催されています。
学校では、日本語の授業もあります。世界で難しいといわれている日本語を必死になって勉強していて、日本のことをもっと知りたいと言っています。日本への留学が文部科学省より無償であり、それに参加したいと言っている生徒もいます。日本のことをいろんな面から好きと言ってくれて、日本を誇りに思います。
日本へ伝えたいこと
第二次世界大戦、日本はオランダに植民地支配されていたインドネシアを助けましたが、その後の支配にインドネシア人は苦しみました。留学が決まるまで私はこのことを知りませんでした。日本では教科書に載っていないのです。
インドネシアの歴史の授業で何度もこの映像を見て、インドネシアの視点だと、想像していたのより苦しく感じました。
広島出身の私は毎年原爆について学び日本は苦しんだと、だから平和の大切さを広めていかなければならないと思っていました。しかし、日本のしてきたことにも目を向けるべきです。そして、原爆がもたらしたものは何だったのか考えていきたいです。
インドネシア人の視点によると、原爆が日本に落ちたからインドネシアは独立のきっかけを手に出来たのだと。世界中でただ広島と長崎だけに落とされた原爆、きっと私たちの知らないところで世界と繋がっているはずです。私はこの留学を通して知っていきたいです。
2015年3月 インドネシアより
AFS61期生/広島市高校生交換留学生奨学生 岡田莉子
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