留学というと多くの人はアメリカやヨーロッパに行く人が多いと思います。私は日本から飛行機でたった3時間で着く中国に留学しました。
中国を選んだ理由
私が中国を選んだ理由の一つには家庭環境があると思います。私は中国人の母と日本人の父を持つハーフです。小学生のころから毎年夏休みになると母の実家に遊びに行っていました。毎回中国に行くのは楽しみだけど、短い期間で言葉もきちんと話せないまま帰ってきてしまうので、ちゃんと言葉も話せるようになりたいと思い、高校生になったら中国に留学に行きたいという考えを持ち始めました。
また、私の母親が中国人であることを友達は知っているので、中国についてたまに聞かれることがあったのですが、自分は中国についての知識がほとんどなく、答えられずにいました。このこともあって、もっと母の母国である中国について知りたいと思い留学しました。
中国の学生生活
中国に行く前から中国の学生はとても勉強熱心というイメージが強く、毎日勉強しかしていないのではないかと思っていました。実際に中国の学生生活に触れてみて、もちろん勉強が第一という考えが大きいですが、ほかにもクラブ活動があり、自分の趣味に合わせて入っている人も多かったです。
私が通っていた学校には日本のアニメ、マンガが好きな人が集まって活動している部があり、ホストシスターもその部に入っていたので一緒に活動に参加したこともありました。みんなでコスプレしたり、ダンスをしたり、マンガ・アニメの展覧会にいったり。普段の勉強の息抜きも兼ねて活動をしているみんながいきいきしていたのがとても印象的でした。
中国では「親しき仲こそ礼儀なし」
日本には「親しき仲にも礼儀あり」という言葉があります。しかし、中国では「親しき仲こそ礼儀なし」なのです。クラスにいる時、友達が勝手に私のものを取って使ったりしたことがあり、私は中国人はなんて礼儀がないのかと思うことがありました。
しかし、これは私のことを本当の友達だと思っているからだということを知り、日本と中国はとても近い国なのにここまで違うのかと驚きました。
他にも日本人はあいまいの表現をよく使いますが、中国では思ったことはそのまま直接言います。あなたのここのところはよくない、直した方がいいなど日本人からすると悪口を言われているように思うこともあります。しかし、これも別に嫌いで言っている訳ではなく中国人の国民性です。
中国は約13億人と世界一の人口を持っています。その中で生きていくには自分の考えをしっかりと持ち、ほかの人と競い合っていかないといけないのです。このような部分もお互いに理解しあっていく必要があると思います。
中国の食卓事情
私が中国で食べた食べ物の中で一番印象に残っているのはカエルの炒め物です。ホストファミリーと一緒に市場に行き、目の前で生きているカエルを見てこれは絶対に食べたくない、食べられないと思っていました。いざ、食卓に出されたとき私はどれがカエルかわかりませんでした。でもホストファミリーに騙されて食べてみると鶏肉のようでとてもおいしかったです。食事が終わった後にその料理がカエルだったと言われて、すごく驚きました。
ほかにも、中国には臭豆腐という食べ物があり、名前の通りとても臭い豆腐です。屋台などで売ってることが多いのですが、離れた場所でも臭いがするくらいです。でも食べてみるとカリッと揚げられた厚揚げのようなものでとても香ばしく美味しいです。
中国で共に過ごしたAFS生
AFSでの留学中、私はイタリア人の留学生と一緒の学校に通っていました。私はあまり英語が話せず、その留学生と交流するのも大変でした。しかし、お互いにうまくない中国語だけど積極的に中国語を使って話すようにして、勉強しつつ習ったものを使って話しをしたり、お互いの間違えを指摘しあったり、今思うと中国語を習得する上でとても役にたったと思います。
お互いの中国語がうまくなるにつれて話せる内容も増え、より仲が良くなったと思います。ほかの学校のAFS留学生とも休みの日にはよく会って一緒に観光に行ったり、ご飯に行って話をしたり、またクリスマスパーティーを開いたり彼らと過ごした時間もとても楽しかったです。
帰国後、中国の高校・大学へ
私はAFSでの留学が終わった後、中国の高校に編入学しました。中国で10ヶ月過ごしやっと話せるようになってきたのにまた日本に戻って忘れてしまうのはもったいない、高校は中国で勉強してみたいという小さいころからの思いもあり、残りの高校生活も中国で送ることを決めました。
大学は日本に進学しようとも考えましたが、3年間中国語を勉強してきて自分が中国の大学の本科に受かったという嬉しさもあり、中国で大学に進学しました。
中国人と一緒に勉強するのは私にとってとても大変です。わからないことが多く、知らない単語も見たことのない漢字もよく出てきます。でも、中国人の友達が教えてくれたり、自分の書いたノートを写させてくれたり、このような助けのおかげで私は今の大学生活を送れているのだと思います。
日本と中国の関係
中国と日本の間には複雑な歴史的背景があります。その影響もあり日本と中国の関係もあまりうまくいっていないこともあります。しかし、これはお互いがちゃんと理解しようとしていないからではないのかと私は思います。
私は留学に行く前から、中国では反日のドラマをテレビで放送したり、反日デモをしたり、日中関係が問題になっているのは、中国が日本を嫌っているからうまくいっていないのだとずっと思っていました。しかし、2年前日本に帰ってきた時に電車で中国のことを挑発しているような内容の広告を見て、とてもショックを受けました。私も日本人として、日本を悪いようには思いたくなかっただけに、何でこんな風に書く必要があるのか理解できませんでした。
日本の中国に関するニュースは反日デモがあったなどの内容が多いため、中国人はみんな日本人が嫌いだと思ってしまうように思います。しかし実際は日本人に敵意を向ける人はほとんどいません。逆に日本のことが好きな人が多くいます。特に中国の学生たちは日本のアニメやマンガを通じて日本を理解しようとしています。日本人でさえ知らないようなことも彼達は知っていることがあります。
日本人もニュースなどで中国人がどんな人か判断するのではなく、実際に中国人と交流し、相手を理解しようと思うことが大切だと思います。
似ているからこそ、違いが見えにくい
中国と日本は近いから似ている部分が多いと思うかもしれません。しかし、似ているように見えるからこそ違いが見えにくく、そこには大きな違いがあります。
私は中国に留学してもうすぐ5年になります。5年経った今でも新しい発見があり、私は今頃になって中国と日本のお箸の置き方が違うことに気づきました。同じだと思っていることが本当は細かい部分で違っていたり、国が近いからこそ違いに驚いたりしますが、その違いを知ることでお互いの国のためにもなると思います。
中国は知れば知るほど面白みのある国だと私は思います。ぜひ、ほかの国では体験できない中国だからこそ体験できる一味違った留学をたくさんの人に体験してもらいたいです。
AFS57期(2010-2011)中国派遣生 関さん
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