私は、7月のはじめにスウェーデンでの留学生活を終え、日本に帰ってきました。帰ってきてからずいぶん時間がたっているのに、いまだに日本のテンポの速い生活に慣れるのが大変です。10ヵ月あまりの留学で私は多くのことを学び、吸収することができました。スウェーデンでの生活と数えきれない思い出は私のこれからの生き方、将来の選択に大きな影響をもたらすと思います。
日本に帰ってきてから一番に感じたことは、「日本で暮らすって本当に忙しい!」ということです。今、私のスウェーデンでの生活を考えると自分がどれだけゆったりとした日々を送っていたかを改めて実感します。
気候がよい時季のスウェーデンでの1日は、朝起きて庭で朝ご飯を食べることから始まります。休日は、2時間もかけて食べることもありました。学校も休みがとても多く、一週間のうち一日は授業が一コマだけでした。平日は、家に帰ると3人のホストシスターと遊んだり、ピアノを弾いたり、森に散歩に行ったりすることが多かったです。
スウェーデン人はとにかく家が大好きで、大人も子どもも仕事や学校が終わると、みんないち早く家路につきます。お父さんもお母さんも仕事が終わるのが本当に早くて、いつも6時には家に帰ってきていました。夕方は、毎日台所で夕食の準備を手伝い、天気がよい日はいつも庭で食事をしました。
夏になると、連日白夜が続くので晩ご飯のあとは10時くらいまで外で家族と話していました。長い冬の間は、食事の後に家族で暖炉の前に座り、話をしたり、映画を観たりしました。こうやって、家族との時間を大切にし、一緒に家で過ごせるよう全員が努力している様子は、本当にステキで心が和みます。毎日をできるだけリラックスして過ごそうとする生活は、いつも自然と共にあり、とても豊かなものでした。
初めはこうした日々に驚き、感動していた私ですが、しばらくするとそれにも慣れ、自分もその生活を心から心地よいと感じるようになっていました。10ヵ月の間、ほとんどストレスを感じることがなく、いつも落ち着いた気持ちで過ごすことができたのはこのような日々のお陰だと思います。今の日本では決して実現できないような生活を体験できた私は本当に幸せでした。
ゆったりとした日々を過ごして日本に帰ってきた私は、いきなり始まったスピードの速い生活にとまどいを覚え、今もまだスウェーデンでのゆとりのある生活を思い出してもどかしくなることがあります。そしてどうしてスウェーデンでは成り立つ生活スタイルが、日本では実現しないのかと考えてしまうこともあります。
確かに、生活環境や人の考え方は国によって違うものですし、それを変えていくのは簡単なことではないでしょう。でも、日本の素晴らしい伝統や文化を残しながら、新しい考え方や生活スタイルを受け入れることは不可能ではないはずです。そのためには、新しいものを取り入れていく上で障害になるような法律や習慣、固定概念を変える実行力を持つ事が大切だと感じます。
私はスウェーデンにいる間、高校のインターナショナルクラスで出会った友達や世界中から集まったAFS留学生と知り合うことができました。そこで学んだことはお互いの意見を尊重し、多様性を認めることでした。
またホストファミリーとの毎日の会話は、本当に話題が豊富でとても充実したものでした。そのような恵まれた環境のなかで、たくさんのことを考え、いろいろな人と意見を共有することによって、私は日本にいたときよりも自分の考えをしっかり持ち、物事を深くとらえることができるようになりました。
将来は、この留学の経験を生かし、2つの国がそれぞれのよいところを学び合い、よりよい関係を築けるように、スウェーデンと日本の架け橋になりたいと考えています。
私がスウェーデンで安心して生活できるように、いつも応援し、支えてくださったすべての人に感謝したいです。日本にいては忘れがちな、毎日を楽しむこと、家族を大切にすること、けっして勉強だけがすべてではないことに気づかせてくれたスウェーデンという国が私は大好きです。
すばらしいホストファミリー、現地のAFS関係者の方々、そしてたくさんの友達の助けなしには、このようによい思い出ばかりを胸に帰ってくることはできませんでした。将来もまたみんなと笑って再会できるように、これからも感謝の気持ちを忘れず自分らしく精一杯努力していきたいと思っています。
Tack så mycket! ありがとうございました。
2013年8月 スウェーデン派遣
AFS59期生/ボランティア奨学生 森あゆ子
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