私がこの留学で学んだのは、自分の思いを相手に誤解なく、スマートに伝えることの困難さだ。日本語や日本人の特性として、文化の共通理解を基盤とした、いわゆる暗黙の了解といった、意見をはっきりと伝えないといったコミュニケーションが主流である。私たちはお互いになんとなく話し、なんとなく理解している。

しかし向こうでは、日常のコミュニケーションのなかで、自分の持ちうる最大の誤謬と表現を駆使する必要があった。日本についてのプレゼンテーションをするときも同様で、聞き手に自分の言いたいことを分かってもらえるのはとても難しい。普段、意識しないような、単語の細かいニュアンスや、わかりやすい、文の構成や、言い回しなどに気を払うのにとても苦労した覚えがある。

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それらの経験を通して私が学んだのは、意識して考え、しゃべることの大切さだ。あの話題について自分が話すとき、相手はそのことについてどれくらい知っているのか、どの部分から話せば一番理解がしやすいか、などのことだ。普段自分がどのように日本語で友達や家族と話しているか振り返ると、自分がいかに、無意識的に、それらの事を加味せず話し、相手に多くの質問をさせているかがわかった。

留学し、言語を一から学ぶことで、言葉の使い方や話し方など今までは気にもしなかったことを考える機会が得られて、とても貴重な体験ができた。

2013年8月 ロシア派遣
AFS59期生/広島市高校生交換留学生奨学生 石川武

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