僕がインドに行こうと思った理由は正直よく今でもわかりません。
しかし、インドで過ごした4週間は僕にとって忘れることができないかけがえのないものであり、どの場面を思い出してもそのときの感情がその場にいるかのようによみがえってくるほど印象的なものでした。
多くの人はインドに対して必ずしもいい印象を持っているわけではないと思います。治安が悪い、衛生面に不安があるなど、僕自身も友達にインドに行くというと、「俺は絶対無理だね」と言われた経験があります。それでも、僕はインドに行きたいと思いました。
結局は興味からはじまったと思うのです。たしかに留学をするにあたりヴィジョンであったり、目標や目的を持つことは留学を充実させるために大切ですが、僕が一番大切だと思うのは心構え、チャレンジ精神だと思います。とくにインドへの留学を考えている方にとっては大事なことだと思います。
インドには日本にない文化がたくさんあります。中には多少抵抗があることもあるかもしれません。しかし、それを理解してもっとインド文化を知ろうとする意欲や楽しもうとする姿勢をもてばインド留学は充実するのではないかと思いました。
まず、学校生活についてですが、授業の英語の学習はさほど難しくありませんが、だんだん難しくなっていきます。個人的には、日常会話の難易度のほうが高かったように思います。授業はとても生き生きしていて英語だけでなく、ダンスやヨガ、インドのダンス、造形などがあり毎日が新鮮でした。先生もとても優しく質問もしやすかったです。
英語の授業以外は現地の学生と会話をするなどとても和やかな雰囲気でした。また、通った学校はとてもすばらしい学校で学問に対する意識が高く刺激を受けることも多々ありレベルの高さを感じました。
ホストファミリーは本当に親切な方々です。僕は留学中に体調を崩してしまいましたが、常に僕の体調を気遣ってくれ安心感がありました。
また、ホストファミリーは留学中にもっとも多くの時間をともにすごす人たちなので、彼らとのコミュニケーションは大切です。とくにインド人は家族を大切にして、年上の人々に敬意を払います。その敬意を表す作法もあるくらいで、僕の先入観が取り払われるきっかけでもありました。
というのも、僕もインドという国はだまされることが多いとか、人が怖いとかいうイメージをインドに行ったこともないのに勝手に持っていました。確かに、想像していたような世界もあります。しかし、実際は愛情のある本当にすばらしい国です。
ところで、僕はこの4週間で心に刻まれた言葉が二つあります。
ひとつは、「君はなんでも受け入れるよね」という留学生の言葉です。インドにいってインドに対する先入観が壊れていき以前の自分を恥じて、なるべく多くのインド文化にふれようと思い、インドで散髪をし、ヘナをいれて、なるべくいろんなものを食べてと、恐れを忘れて挑戦し続けました。そのことを、周りのひとに実際に声に出して言ってもらえたことで、僕の挑戦が認められたようで、この上ない喜びでした。
もうひとつは、ホストマザーの言葉です。僕が失敗していろんな人に助けてもらい、情けなさに少し落ち込んでいるとき「あなたが受けたやさしさを、今度はあなたがかえせばいいのよ」と言われました。
留学中は楽しいこともありますが、つらいことや、かなしいこともたくさんありました。特に、僕はなかなか英語がうまく使えず悩んだし、後悔もしました。そんなときに支えてくれるのは、周りの留学生やホストファミリーでした。彼らとの交流はまだ続いていて一生の宝物です。
先述したように僕はほぼ興味本位でインドに留学しました。今考えると、やはり甘い考えだったなと思います。しかし、滞在する中でなりたい自分像や目標がみえてきて、それにひたむきに向かうことで、この留学を充実させることができました。これは、AFSの方々、現地の学校の方々、ホストファミリーのおかげであり、本当に感謝しています。
インドでは、もちろん語学の習得や異文化体験ができます。しかし、それと同時に自分の価値観を大きく変え、自分の世界を広げてくれる国でもあります。今後、僕は広い視野と寛容な心をもって僕を成長させてくれたインドに恩返しができるような活動がしたいと思っています。