「ん?えええっ?もしやそっちの同窓会に招待されてる?」
ある日Facebookで目にしたメッセージ。それはコスタリカの高校の同窓会の案内だった。しかも卒後25周年らしい。
「みんなに会いたいな」
と同時に「どうしよう」。
往復で3日間要するコスタリカ、通常なら新婚旅行でもない限り7日間以上の休暇をもらうのは難しいところだ。
だが、上司や仲間は「せっかくの機会だから行ってきなよ!」と快諾してくれた。
時は1月、冬の日本を飛び出していざコスタリカを再訪した。
25年前と違ってスマホのおかげでオンタイムで連絡出来る。
「きょうこ?16時には着くよ」ありがたい。こちら16時10分前から準備万端でそわそわ。実際会えたのは16時30分過ぎ。ここで思い出した。
「あ、ここはコスタリカだった。この時間感覚は変わらないんだな」
いよいよ同窓会が始まった。次々と懐かしい顔が現れて「私のこと覚えてる?」と声をかけてくれる。皆すっかりメタボ体型だが顔つきはあの頃と変わらない。一気にあの頃に戻れた気がした。懐かしさからのマシンガントークに圧倒されスペイン語の理解が困難だが、私が一言二言話すとすぐにこちらの意図を汲み取ってくれ解釈し確認してくれる。いつも皆で私を優しく包み込んでくれたあの頃のまんまだ。感激で夜景が涙でにじんだ。おおらかさと人懐っこさが溢れたこの人達に、コスタリカに、私は育てられたのだ。
ずっと片思いだった人にも再会しあの頃のときめきが蘇った。私にとって相変わらずの王子様だった。翌日に花火デートに出かけてこの上なくきゅんきゅんした。
ホストファミリーや親友の家にも滞在した。「何故ホテルの宿泊とったの?ここがあなたの家でしょ」結局ホテルは終始荷物置き場になっていた。
私とはしゃぎまわっていたホストシスター達が強い母親となりそっくりな子供達を真顔で叱るその姿に時の流れを感じた。
恋バナや試験の話しかしてなかった親友とお互いの仕事での目標・将来への展望について語り合えたのも有意義だった。
濃厚な滞在はあっという間に終わった。帰国後同級生達とはSNSでのグループチャットで繋がっている。たわいもない会話も含め常にスペイン語に触れられる点で非常に興味深い。
留学後は延々と時間がかかる航空便でクリスマスカードの交換のみ細々とやっていたので、それから比べると現在は驚くほど便利である。
これだけ繋がると不思議なもので、涙の別れではなく「じゃ、またいつかね」と近いうちの再会をお互い普通に考えることが出来ている。実際日本訪問を考えてくれている友人が何人かいる。
今、進学か留学かで悩んでいる後輩がいたら私は迷わずすすめたい。
留学しよう!と。
「留学して将来やりたいことが変わったらどうしよう」これは高校の先生方にも心配された。「理系なのに何で留学?帰国後文系に行くの?」
その時はその時だ。人生一度きり、その瞬間その瞬間を思いっきり生きることで道は拓かれる。私は帰国後もともとの希望通りの職業に進んでいる。
もちろんそこに至るまで紆余曲折はあったが、つらい時・悩む時はいつもコスタリカでのかけがえのない経験が私を支えてくれた。
そして今後は自分の仕事を通じてコスタリカや中南米のスペイン語圏の人々に少しでも役立てることができないか模索し始めたところである。
AFS37期(’90-‘91)コスタリカ派遣
髙村恭子
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