2016年2月6日、グレースは11ヵ月の日本留学を終えて、日本の家を離れました。
彼女は、前日から学校でも家でも「帰りたくない」と言って、泣き放しでした。アメリカ ミシガンの実家では、お母さんが彼女の帰国を指折り数えて待っておられました。無事に、ご両親の元に元気で帰ってもらえて心底ほっとしています。
昨年3月、夫婦2人暮らしの我家に来たグレースは、日本語はあまり通じず(当然)ウンウンと笑ってすませることが多く、また、梅花高校と家以外はあまり出たがらず、私の後ろを隠れて歩くような内気な娘でした。
趣味は“読書と寝ること”だと言って、帰宅後は部屋にこもっているばかり。「グレース、運動もしないといけないね。一緒に歩こう。」と誘っても、「本を読んでいる。」と言って、なかなかついて来ず、仕方なく一人で散歩に行くような事も度々でした。彼女に文武両道を理解することはできないようでした。それにも増して好奇心に広がりのないのは不思議なくらいでした。
折角、地球の裏側まで勇気を出して来たのだから、日本でしかできない事をしてもらわなくては……と、考えました。
・お弁当を他の留学生とばかりでなく、クラスメイトと食べること。
・1日10人以上の日本人と話すこと(絶対無理、と困っていました)
「こうすれば、グレースの日本の生活は楽しくなるから、がんばって!」
「そして、お友達がいっぱいできたら、帰国前に一番行きたい所へ連れて行ってあげるよ。」
この言葉に、グレースの顔が輝き、「東京ディズニーランド!!!」と言いました。
「~しまった。遠い。高くつく。~ 」でも笑顔で「よし、約束するよ。」(12月に実行)
6ヵ月を過ぎた頃から彼女なりに努力して、いろんな人と交わっている様子がうかがえました。「今日は、こんな事があった。」「メッチャ楽しかった。」など、お便りボード(写真)に日本語をいっぱい書くようになり、彼女がふくらんでいく(体はふくらまないで!)様子が手に取るように分かりました。
冬休みには、お友達と、またあるときは一人で、梅田、難波、日本橋、奈良、神戸へと行動範囲を広げ、帰ってくるたびによく話してくれました。
例えば、喫茶店で英語で話しかけられたが、日本語で答えると「すごい!」とびっくりされたとか、道を迷っていそうな外国人に道案内をしたとかを誇らしげに話してくれました。
伊丹空港へは、多くの級友が来てくださり、誰とも抱き合って大泣きしているグレースを見て、「人との出会いや交流の楽しさを理解しはじめた」グレースに拍手を送りました。
グレースのおかげで、この11か月貴重な体験をし、また我が家の二人の娘のホストファミリー(デンマーク、パナマ)にも大きな感謝を今更ながら持つことができました。
お世話になりました皆々様に深く御礼を申し上げます。
2015年にアメリカ留学生グレースさんを受け入れ
Mさんファミリー(大阪)
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