2023年12月16日土曜日
奈良県留学生・研修生の日本語による体験発表会が県内高校の講堂で行われました。
アジア架け橋プロジェクトプラス生、ミャンマーからのミンくんが「会長賞」を受賞しました。当日の発表の内容は
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「井の中の蛙(かわず)のターニングポイント」
2018。これは私が生まれ変わった年です。それ以前の、私の生活は、限られた環境の中で他の人が決めた行動(こうどう)を繰り返す単調な毎日でした。朝、学校に行って、夕方戻ってきて、塾に行って、家に帰って、寝って・・・。でも、私はそんな生活に不満はありませんでした。この単調な生活の外の世界は、別の惑星(わくせい)に存在するようなもので、私は無知で、無関心(むかんしん)でした。
しかし、2018年にすべてが変わりました。その年の2月、母からAPCCという日本への2週間の交換(こうかん)留学プログラムの面接の話を聞きました。そのときは、あまり深く(ふかく)考えず、”まああ、いいんじゃない?やってみよう”と思いました。ところが、その軽はずみ(かるはずみ)な決断(けつだん)が、私の小さな井戸からの第一歩(だいいっぽ)になりました。その年の7月、私は福岡に到着(とうちゃく)しました。2週間というのは短いかもしれませんが、そのたった2週間の影響(えいきょう)は大きく、私はその時に生まれ変わったと言っても過言(かごん)ではありません。
私は55カ国から集まった200人以上の参加者といしょうにマリンハウスのキャンプに滞在しました。その時、私は、世界がいかに広大(こうだい)であるかを、本当の意味で理解したのです。言語、文化、食べ物、考え方。そのひとつひとつは どれも美しくて個性的(こせいてき)です。私はとても興味を持ちました。様々な違いはあっても、また地球の反対側から来ていても私にとってはひとつの大きな家族のように感じられました。少し前に井戸から出てきたばかりのこのカエルには、不思議な新感覚でした。
その後、ホストファミリーの家(に)移(うつり)ました。そこで初めて、自分の人生以外(いがい)の人生を垣間見る(かいまみる)ことができました。同年代(どうねんだい)の子供たちがどう考え、どう行動するのか。その中でも一番衝撃(しょうげき)を受けたのは、日本の子供たちがいかに自立(じりつ)していて責任感(せきにんかん)が強いか ということでした。
ホストファミリーと過ごした時、日本の中学校に行く機会をありました。ホストブラザーと学校に向かう途中(とちゅう)、小学生が子どもたちだけで整然(せいぜん)と集団(しゅうだん)登校(とうこう)をしているのを見かけました。中学校でも、驚くことばかりでした。給食(きゅうしょく)の時間には、生徒が自分たちで配膳(はいぜん)します。学校が終わっても、廊下やトイレを掃除(そうじ)するのは生徒たちです。
高校生になっても通学でさえ親頼み(おやだのみ)、大人(おとな)になっても責任感が希薄(きはく)な人が多い社会で育った私にとっては、目から鱗(うろこ)が落ちる思いでした。私の半分の年齢(ねんれい)の子供たちでさえ、これほど責任感(せきにんかん)があり自立しているのに、どうして私にはできないのだろう?
そんな思いを抱き(いだき)ながら再び日本に留学することができ、今、このステージに立ってスピーチをしています。来日(らいにち)してまだ1カ月も経って(たって)いませんが、ホストファミリーと過ごす毎日は久しぶりに味わう楽しい時間です。ミャンマでは経験できなかた高校生活を体験しています。井戸の中(に)いったカエルは、ついに海で泳ぐようになりました。
でも、これで終わりではありません。私の国にはまだ井戸の中にいる人がたくさんいます。井戸から出たくても出られない人がたくさんいます。彼らのために海への道を開い(ひらい)てあげたい!私も自分の力だけで井戸から出たわけではありません。周り(まわり)の人たちのサポートがあったからこそ、今があります。私が受けたすべてのサポートの恩返し(おんがえし)をしたい!
今まで私を支え(ささえ)てくれたすべての人のために、責任(せきにん)ある人間になれるように頑張ります!
ご清聴(せいちょう)ありがとうございました。
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