「ガラッティ賞」は、AFSの使命と目標を達成するために、長年にわたり献身的な草の根の活動を続け、AFSと共に歩んできたボランティアに贈られる賞です。1983年に創設され、AFSプログラムの原動力であるボランティアに敬意を表すもので、毎年、世界約60の国・地域で活動する各AFS組織の推薦により、AFS国際本部が受賞者を決定します。

2023年度は、関西を中心に約40年にわたってボランティア活動を続け、AFSの使命と目標を推進してこられた中埜和子さんが受賞されました。

AFS Galatti 2023 Awardee -Meet our outstanding volunteer!

中埜さんは1962年から1963年に9期生として日本からアメリカ・ウィスコンシンに留学され、帰国後すぐに学生ボランティアとして活動されました。就職、結婚、育児で活動を離れたものの1986年にAFS活動を再開、AFS日本協会の評議員や地域活動委員を務めたのち、2001年に大阪北支部を立ち上げ、7年間、支部長を務められました。支部活動を盛り上げるために寄付活動にも尽力され、広島での平和学習など現在にも続く企画を実現されました。現在も大阪北支部の顧問として活動を支えてくださっています。

中埜さんは、これまでウェルカムファミリーなどの短期も含めて多くの留学生を受け入れるだけでなく、留学生・ファミリー・学校をつなぎサポートするLP(Liaison Person:リエゾンパーソン)としても、数えきれないほど多くの留学生の異文化学習を支えてこられました。また、中埜さんは活動中の気づきをもとに、サポートのポイントをまとめた資料を作成、経験を積んだLPが若手のLPの相談にのるボランティアのしくみも考案されました。

中埜さんが作成された資料は、その後、改訂をされながら現在もLPマニュアルとして活用され、LPを支えるしくみは、LP向けの研修を企画したり相談に乗ったりするLPコーディネーター(LPC)に発展しています。このようにボランティア活動で指導的な役割を果たしてきたことや、学校や教育機関を含めて多くの人に異文化学習へのアクセスを拡大したことが特に高く評価され、今回の受賞につながりました。

『ボランティアは楽しくなくちゃ!』がAFS活動におけるモットーであると語る中埜さん、受賞のコメントを、以下にご紹介します。


受賞コメント

この度、思いがけずAFS Galatti Awardを受賞することになりました。
喜びというより驚き一杯で「何で私が?」「受賞適任者は他にもたくさんおられるのに。」というのが、私の正直な気持ちです。

60年前(1962-1963)、アメリカ・ウイスコンシン州でAFS生として過ごした記憶が私の夢となり、AFSのボランティア組織のように国際交流、国際親善に関わりたいとの思いは消えませんでした。
振り返れば、40年間ボランティアとして関西地区の2つの支部で支部活動に関わることが出来たのは大変幸せなことでした。夢が実現したのです。

個人の力は微力でどれだけ貢献できたのか、どれだけお役に立ったのか自信はありませんが、支部として留学生をサポートし彼らが日本を大好きになって帰国する姿を見るのは嬉しいことです。こうした留学生との交流で支部員も異文化に接し、多くを学ぶことは楽しみであり有意義なことです。
留学生を温かく受け入れて下さるホストファミリーの皆様、学びの場と友達作りの場を与えて下さるホストスクールの先生方や関係者の方々の協力なしには こうした活動は実現しません。皆様には感謝しかありません。

この度の栄誉あるGalatti賞は、決して私個人に与えられたものではなく一緒に頑張って下さった支部の皆さん、および日本協会に授与されたものと思っています。
これからもAFSファミリーの一員として, 異文化を理解し「公正で平和な世界」の実現に少しでも貢献できれば幸いです。共に頑張って下さる人達が増えることを願います。


AFS Galatti Award for outstanding volunteer service

「ガラッティ賞」の名は、1936年から1964年に亡くなるまで28年以上にわたってAFSの事務局長を務めたスティーブン・ガラッティ氏の名に由来します。
ガラッティは、もともと傷病兵を救急搬送するボランティア組織であったAFSを、より公正で平和な世界の実現に必要な知識、能力、理解力を多くの人びとが身につけるために異文化学習体験を提供する団体へと、その役割を変えた立役者です。
AFSの交換留学プログラムは、献身的なボランティアの継続的なサポートがあって成立します。「ガラッティ賞」は、多くの参加者、家族、国々がこの活動に加われるようたゆまぬ努力を続けたガラッティのように、AFSの使命と目標を達成するため長年にわたり献身的な活動を続けた方に贈られています。


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