AFS活動において、留学生を間近で支えるのは、全国の支部ボランティアです。
特にLPという役割は、プログラム期間中を通して特定の留学生、ホストファミリー、ホストスクールを繋ぎ、情報を伝えたり、相談に応じたり、話し合いの場を設定するなどしてサポートし、最前線で文化間に橋を架けるものです。LPはリエゾンパーソン(Liaison Person)の略で「繋ぐ人」という意味です。
また、LPの中でも経験を積み、LPの相談役になったり研修を企画したりする支部ボランティアのことを、LPコーディネーター(LPC)と呼びます。
LPは、個々の経験を活かして活動することはもちろん、同じ活動に携わるボランティアと情報を共有したり、研修に参加したりして、日々学び続けています。
昨年、「サポートケース検討会」というオンライン研修が新たに立ち上がりました。過去に実際に起こったケースを、プライバシーに配慮しつつ共有し、プロボノとして関わってくださっている精神科医の田村毅さん(AFS22期生)にアドバイスをいただきながら、参加者全員で意見交換をして、今後の活動につなげていこうというものです。
研修は、田村さん、LPコーディネーターで構成される研修企画メンバー、そして事務局の協働により企画・運営され、毎回1つ、実際に起こった事例をとりあげ、じっくりと深掘りしていきます。
これまでの回でとりあげられたケースは次の通りで、全国の支部ボランティアは関心のある回に任意で参加します。
〈サポートケース検討会:これまでにテーマになったこと〉
生徒とホストファミリーの言い分が全く違う時の対応について
サポートをしていて疲弊すること
対応に困ったサポートについて…LGBTQ、発達に問題を抱えた生徒
コミュニケーション不足の生徒へのサポート、対応について
発達障害の特徴に当てはまると感じる生徒のサポート
5月20日(土)、通算で第6回目となる研修会が開催され、LPとして活動して1年目の方から10年以上のベテランまで、約40名が参加しました。
今回のテーマは「日本に行けば(自分が)変われるかもしれないと思って留学したケース」。言葉で自分の気持ちを表現することが苦手で、すぐに泣いてしまう留学生をどのようにサポートすればよいかという問題提起でした。
AFSのプログラム参加者は10代の高校生。柔軟で吸収力が高い一方で、思春期特有の不安定さが表面化することもあります。田村さんは10代は成長の個人差が大きいことを踏まえたうえで、「変わってほしいと思ってるのは誰ですか?誰が希望してること?」「誰が問題だと感じていることですか?」など、対話の中で問いかけ、様々な角度で見てみることを提案します。ただし、一方的に教えを授けるのではなく、自身も一人のボランティアとして学びあいに参加しているというスタンスです。
30分ほど全体で話した後、主催メンバーが小グループのファシリテーターとなって約40分間じっくりと話し合いを行い、その後さらに20分間共有の時間を設けて終了となりました。
参加者からは「良い悪いでカリカリしない、結論を出さないと心がける」「自分の期待と他人の期待が同じであるとは限らないことを念頭に置いて活動できたらいい」「留学生が何か問題を起こしたとき『そもそもどんな子なんだろうか?』という原点にかえって考える」など、今後の活動に向けた前向きな意見が多く聞かれました。
本研修は年4回開催で、2023年は8月と11月にも予定されています。
留学生の受け入れを通して、教育や異文化理解について考えてみたいという方は、ぜひ活動にご参加ください。日本協会には全国に約60の支部があり、現在1600名以上がボランティア登録しています。
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