2022年10月6日、オペラ歌手として活躍なさる一方、音楽を通じて幅広く社会貢献活動を続けられるコロンえりかさんをお迎えし、「ホワイトハンドコーラス~音楽で繋ぐ未来」というテーマでお話をしていただきました。

実は、今年の5月、竹芝にある「対話の森」で開催されたホワイトハンドコーラスの写真展を見に行く機会があり、生き生きとした子供たちの手歌の表現の美しさに感動し、この活動をなさっておられるコロンさんの講演をお聞き出来るのを楽しみにしておりました。

講演はトーマさん、ケーマさんの手話を交えて進められ、内容の濃い素晴らしいお話を聞くことができました。印象に残ったのは、障害は「個人」だけで乗り越えるものではないという点です。「社会」が作っている見えない壁を取り壊し、その人らしく社会に繋がること、また、偏見を持たない子供たちが、障害を持つ子供たちに出会うことで、意識を改革していけることが大切であるとの考えに同感しました。

また、耳が聞こえないという障害がある子供たちが、自主的に自分の内面を手を使った手歌で表現し、溢れる笑顔で楽しんでいる姿に感動しました。障害の有無や経済状況に関わらず、お互いに学び、みんな一緒になって一つの作品を作り上げている姿は「インクルーシブな社会」を体現していて、とても素晴らしいことだと思いました。

コロンさんは、健常者も障害者も誰も取り残さない未来のために、「そうすべきだから」ではなく「そうするために楽しみながら」活動することが大事であるとの考えを生き生きと語られており、そうした情熱を実践に移されている姿に感銘を受けました。この活動の輪が広がっていくことを応援させていただきたいと思っています。

なお、講演の前にはリサイタルでアベマリアを歌うコロンさんの映像が、講演終了後にはホワイトハンドコーラスのメンバーがプロの楽団と一緒にベートーベンの第九を手歌や歌で表現している映像が、それぞれ流れました。アベマリアではコロンさんの心のこもった透き通った歌声がとても心に沁みました。第九ではホワイトハンドコーラスの取り組みのすばらしい成果を見せていただくことができ、とても良かったです。

今回は、当日講演されたビデオもありますので、ぜひご視聴ください。

柴田 新子(AFS友の会運営委員)

コロンえりか氏のプロフィール:
ベネズエラ生まれ。聖心女子大学・大学院で教育学を学んだ後、英国王立音楽院を優秀賞で卒業。同年ウィグモア・ホール(ロンドンにある世界最高峰コンサートホールの一つ)デビュー。イタリア、フランス、イギリスを舞台にバロック期のオペラ上演や現代曲の初演も数多く経験。日本では井上道義総指揮、野田秀樹演出の「フィガロの結婚」や、渡辺俊幸作曲オペラ「禅」などに出演。東日本大震災以降、日本でも始まったエル・システマ(1975年に創設されたベネズエラの音楽教育プログラム)の活動に精力を注ぎ、ホワイトハンドコーラスNIPPONの芸術監督として、耳の不自由な子どもを含む様々な障害を持つ子どもたちに音楽を教える。2019年東京国際声楽コンクールでは、史上初めてグランプリ部門、 歌曲部門の両部門で優勝。2020年5月キングレコードよりCD「BRIDGE」をリリース。駐日ベネズエラ大使夫人、4児の母としても多忙な日々を送る。

《ケーマトーマ》プロフィール:
手話通訳、手話パフォーマーのコンビで、情報番組や東京オリパラ公式イベント、ライブや、TV朝日、NHKなどで手話協力を行い手話を広める活動中。


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