2021年12月24日、山梨県に滞在するカンボジア生・ヒマリが、ボランティアや友人とともに、株式会社日建(山梨県南アルプス市)を訪問しました。同社は、1994年以来、地雷除去機の開発に取り組み、世界各地で、紛争後に残された地雷や不発弾の除去にあたっています。
全国各地のAFSボランティアは、留学生の異文化理解教育と並行し、平和学習にも力を入れています。今回、ヒマリの父親がカンボジア北部で地雷除去に携わっていることを知ったボランティアが、同社に依頼し、訪問が実現しました。
私の平和プロジェクト (地雷除去)
ディエップ・ソチエタ(愛称:ヒマリ)
カンボジア出身、アジア架け橋プロジェクト第4期(2021-2022年)生
1. 概要
現在のカンボジアの地雷除去の状況、持続的な平和の取り組みについて株式会社日建が取り組んでいること、そして私の意見や考えについてお伝えしたいと思います。
2. カンボジアの地雷除去の状況
現在、私の国カンボジアでは、北部のプレアヴィヒアなどの田舎に、まだまだ地雷が埋まっています。いくつかの場所では「注意、地雷があります」と書かれた標示があります。
地雷の除去は進んでいますが、それでもまだ残っているのは、すべての地雷がどこに埋められているのかわからないからです。1970年から1988年まで起きた内戦により、カンボジアにはいまだ戦争の爪痕が残っています。現在も、日々地雷の事故が発生し、体が不自由になった人々がいます。地雷が埋まっているだろうと思われる場所や地雷の影響を受けた場所は、地雷がまだ完全に除去されていません。人々は敵と戦うため、地雷を埋めたので、地雷はどこにでもあるのです。特定の場所に地雷が埋まっているというわけではありません。
3. 株式会社日建で学んだこと
平和について学ぶため、2021年12月24日(金)、株式会社日建(以下、日建)を訪問しました。日建にはさまざまなタイプのディーゼルエンジン、トランスミッション、車軸、その他重要な機械の部品、重機などの建設機械があります。
さらに、日建には地雷除去プロジェクトがあり、地雷除去後のエリアの開発支援や、ラオス、カンボジア、コロンビアなどといった国々に、対人地雷除去機の供給も行っています。対人地雷除去機の製造のおかげで、人々がより安全に生活しやすくなっています。私は、平和への探求と持続可能な開発目標について認知度を上げようとしているこの企業の目標に強く心を打たれました。
今回の訪問を通じて、私は起業家でもある雨宮会長から多くの事を学ばせていただきました。地雷に苦しんでいる国の多くの人々を助けるだけでなく、対人地雷除去機を地元の人々が使えるようになるよう指導してくださっています。特に、子供たちに対して、地雷がどれほど危険なのかも教えてくれています。子供たちや地元の人々を指導してくださっています。また、絵を交換しあうことで、日本と他国の子供たちの絆を強くするようなこともされています。
私は、人生において2つの事を学びました。1つは、人々との信頼関係を築く事、もう1つは、人々を助ける事。この企業はなんと親切で素晴らしいのだろうと感銘を受けました。地雷はとても危険なもので、瞬く間に人々の人生を大きく変えてしまうものです。通勤途中に地雷を踏み、怪我をする、ひどい場合、命を落とすこともあります。まだ地雷を製造し続けている国や企業があると知り、そしてこうした地雷を購入する国や企業があるということに、私は驚きを禁じ得ません。
2つのタイプの人々が存在していていることも学びました。1つは、一生懸命地雷を取り除こうとする人々。もう1つは、人々を傷つけようとする人々。人々はこの問題について関心を高めるべきだと思います。世界を平和にすることについて、人々に興味を持ってほしいと思っています。
社会には、2つのタイプの人々が生活をしています。1つは、コミュニティーを壊して生きている人々。もう1つは、よりよい場所を作ろうと懸命に生きている人々。私はすべての人が2つめのグループで生きる、すなわち、よりよい場所を作ろうと生きることを選んでほしいと願っています。
4. おわりに
将来、私は医師になりたいと思っています。自分の仕事を通じて、事故や病気になった人々の命を救いたいと願っています。私は今回、対人地雷除去機に載せてもらい、悲しみを覚えつつも感銘を受けました。対人地雷除去機が製造されたのには訳があります。まだ地雷に苦しんでいる人たちがいるのです。しかしながら、対人地雷除去機のおかげで、危険な地雷は破壊されるようになり、人々はより安全に暮らすことができます。問題があっても常に解決策はあります。
カンボジアの代表として、私は地雷除去のために資金と技術的な装置を継続的に提供し、サポートして下さることに心から感謝申し上げます。他の人たちも私同様に感謝をしていることでしょう。世界のために一緒に協力し、平和を築き上げられるよう、私が学んだことを人々に伝えたいと思っています。
株式会社日建のみなさま、ご協力いただき、どうもありがとうございます。当日は、ボランティアのほか、ヒマリのホストマザー、日本語学校の先生と生徒(カンボジア出身)も同行。日ごろ、生徒を支援する大人にとっても、地雷除去の取り組みとともに、日本とカンボジアの未来を考える時間となりました。
この記事のタグ : アジア高校生架け橋プロジェクト