AFS日本協会は、2021年3月6日、東日本大震災から10年となるのを機に、「東日本大震災から10年 ~留学は“それどころじゃない”選択か みちのく奨学生と考える10代留学の意味」と題し、オンライン会議を開催しました。
「みちのく応援奨学金」は、東日本大震災及び福島原発事故の影響を受けた高校生を応援したいと国内外から寄せられた多くの寄付をもとに2011年にAFSに設立された奨学金です。2012年から2018年までに42人の被災地の高校生の海外留学を支援してきました。2021年には新たに2名の奨学生の派遣を予定しています。
当日は、奨学金を受給し、約1年間、ボリビア、イタリア、アメリカの各地に派遣された元奨学生3人と、AFSの留学支援活動を続ける宮城県のボランティアが登壇し、留学当時の思いや、高校時代の留学経験が与える影響について、 それぞれの視点から語りました。
視座を広げる10代の留学
「震災によって生活が大きく変わった。留学したいと言ってはいけないのではないかという不安があったが、家族の応援があり、奨学金という形で多くの人からの応援があったからこそ一歩を踏み出せた。」(稲村さん)
「留学中の出会いで人生に多くの選択肢ができた。留学を叶えてくれた多くの人の存在が、誰かのために全力になるという人生の軸をつくっている。」(中澤さん)
「これから追求したい多くのことのベースにAFS経験がある。」(高橋さん)
などの力強い言葉に、参加者からは大きな拍手が送られました。
生まれる変化を知るからこそ、交流活動を続ける
宮城支部は震災後一時的に活動を停止したものの2012年8月からは受入を再開、以来、継続して世界各地から生徒を受け入れ県内の高校生の海外留学支援を続けています。
地域での国際交流・異文化理解活動を続ける理由について、渡邊さんは「わたしたちはAFSのプログラムの意味をよく分かっているから」と語ります。「わたしたちは生徒に劇的な成長があるということを何度も見ている。だから活動を止めずに継続している」という渡邊さんの力強い言葉に、参加者からは感謝と感動の声が寄せられました。
当日は、福島県立ふたば未来学園高等学校(福島県双葉郡広野町に2015年創設)に初めての留学生として受け入れられたインドラさんからのビデオメッセージも上映されました。
インドラさんは2018年にマレーシアから来日した留学生です。インドラさんは当時を振り返り「わたしたちの違いが私たちを共に強くした」「広野町での経験は私の視野を広げ理解力を深めた」と、今も交流を続ける日本の同級生が手伝ってくれたという日本語を織り交ぜながら、笑顔で話しました。
自分の進路や生き方を模索する多感な10代にとって、異文化に暮らす人々の中で彼らと直接交流するAFSの異文化学習プログラムは多様な問題への気づきを提供し、その解決を模索する糸口となっています。また留学生の存在は、彼らを受け入れる人々にもはたらきかけ、コミュニティに新しく前向きな変化を生み出します。AFSはこれからも、高校生をはじめとする幅広い年代の多くの人々が違いを知り、違いを受け入れる経験を持ち続けられるよう、各種プログラムの提供を通じて、活動するグローバル市民の育成に貢献して参ります。
あわせてぜひご覧ください
▼みちのく応援奨学生の留学レポート
▼インドラさんとふたば未来高校の活動
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