「なんか、おもしろそう」最初に日本でICL®(Intercultural Learning、異文化学習)のボランティア向けトレーニングの導入を聞いた時の印象です。
高校生の交換留学にかかわる中で、異文化を理解することは、時に戸惑い、時に爆笑し、様々なバリエーションがあるのですが、これまでは体系的なトレーニングはなく、日々の経験を積み重ねてサポートにあたっているのが現状でした。
そのため、ICLに対する期待はとても高かったのですが、実際のトレーニングを受けると、思ったよりも難しく、未消化な部分が残ったのでした。
そんな時に、インドでICLの研修があると聞いて、もう少し詳しい内容が学べるかもと、軽い気持ちで申し込みをしました。
しかしながら、実際の研修は、自分の予想をはるかに上回る、とても濃い内容のものでした。
朝は9時から夜の20時まで、みっちりとICLの内容だけでなく、トレーニングの技術についても学びます。参加者はインド、フィリピン、タイ、香港からで、下は大学に入ったばかりの若い人から、上は仕事をリタイアした還暦過ぎの人まで、年齢も様々です。
トレーニングは全て英語で行われたのですが、慣れない環境ということもあり、途中から私は英語での発言がだんだんとできなくなってしまいました。理解はできるのですが、言葉が出てこないのです。
そんな私を心配に思ったのか、トレーナー達は、母国語でのプレゼンテーションの機会を作ってくれました。なんでも良いので、料理の作り方を、それまで学んだトレーニングスキルを使って説明するのです。言葉は早くないか、アイコンタクトはまんべんなく行っているか等々、母国語であっても、判断できる技術を見るためです。
また、トレーナーだけでなく、他の各国の参加者達も、なんで英語が出てこないのだろうと落ち込む私を、本当に分け隔てなく、サポートし励ましてくれました。
「できない自分」と向き合うのは、とても辛かったのですが、「できない私」であっても辛抱強く受け入れてくれるという経験は、まさにAFS的であり、この年になってこのような経験ができたのは、幸運であり、感謝の思いでいっぱいです。
はからずも、ICLを超えたAFSの根源としての部分に触れた研修となり、今後の留学生のサポートに生かしていきたいと思います。
-形山鮎子(AFS東京多摩支部)
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