AFSでは世界中で4万人のボランティアが活動していますが、国を越えて活動内容を共有したり、より良い活動を目指して意見交換を行うために、ボランティア・エクスチェンジを行うことがあります。
4月11日、日本から8名の代表ボランティアが渡米し、それぞれわかれて各地の支部を訪問した後、カンザスシティに集まり、アメリカの全国ボランティア大会に参加しました。 約1週間の滞在でしたが、同じAFSボランティアとして共感したり、お互いの活動から学んだりと有意義な機会となったことと思います。
以下に、滞在レポートをご紹介します。
日米ボランティアエクスチェンジプログラムに参加して
(AFS群馬支部 上代成子)
昨年10月にAFS-USAのボランティアが来日した際、群馬支部ではオレゴン州のジムを受け入れた。
かつてAFS-USAの職員だった彼は、息子をAFSで留学させホストファミリーの経験もあり、今回はチームリーダーとしての来日だった。たまたま滞在時に発生したアメリカ女子の早期帰国については、貴重な意見を頂いた。私は残念ながら東京での行事には参加できなかったが、AFS経験が豊かで規律正しいジムと知り合ったのは大きな収穫だった。
2016年4月11日から地活委員(2014~2015年度)を中心とした日本チーム8名が全米各地に飛び、訪問プログラムが開始した。私はオレゴン州ポートランド、ジム宅にホームステイした。
4月12日には、Columbia Pacific Area Team の主要メンバーと会食し、Welcome to the AFS-USA Columbia Pacific Area Team という、以下の内容の冊子をもらった。
- Overview of the AFS-USA Columbia Pacific Team - Who We Are
- Information on AFS programs in Columbia Pacific
- Resource information for New Volunteers
- Volunteer Opportunities in the Team
必要な情報を網羅し、新規ボランティア開拓に大変役立つ冊子であり、今後参考としたい。
4月15日午後4時、NVA(全米ボランティア大会)が行われるカンザスシティに、全米各地から日本チームメンバーが集まった。NVA自体は14日から開催されていた。以下、会議を中心に報告する。
4月15日(金)
「AFSを祝って:過去、現在、未来」
The National WWI Museum and Memorial にて午後6時から行われた式典は圧巻であった。名簿では参加者は154名、スタッフ、代表、ボランティア、ゲストで構成されていた。
博物館のPresident and CEOであるDr. Mathew Naylorの基調講演はスタンディングオーベイションで終わり、各賞の受賞式が続いた。優秀なボランティアを表彰するものだったが、日本で機能しボランティアのモチベーションアップに繋がるのか興味が湧いた。懇親会を兼ねた夕食後は、博物館を借り切って自由見学だった。
4月16日(土)
慌しい朝食後、すぐに会議が始まる。アイスブレーキングの実演から始まり、ワールドカフェ、パネルディスカッション、講演、各チームの紹介、ワークショップ等、密度の濃い大会だった。多様性という単語が数多く使われていた。
ボランティア獲得の、各国の取り組み。
- AFSスイス:
- ボランティア自身に質問させることにより、毎年多人数のボランティアのトレーニングをしている。スパゲッティパーティー等を開催し、AFS活動は楽しいことと周知する。
- AFS カナダ:
- 新規ボランティアに不定期に容易なスモールタスクを与え参加しやすくし、教育していく。
- AFS アルゼンチン:
- 帰国後1~2年の帰国生を参加させるためには、地域のボランティアとの絆が決め手。
時間が大幅にずれ込み、予定されていた日米ボランティアエクスチェンジプログラムのプレゼンテーションは翌日に繰越となった。最後に、重要事項であるNational Council (地活委員に近い役割) Board(理事) 2018年度の開催地についての投票が行われ、16日の会議は時間を延長して終わりとなった。
4月17日(日)
再び慌しい朝食後、時間繰り上げで大会が始まった。まず、昨日の投票結果が発表され、日米ボランティアエクスチェンジの発表、カンザズシティに滞在中の留学生の紹介、講演、チーム紹介等が続いた。ビュッフェランチで全米ボランティア大会は幕を閉じたが、参加者が余韻を楽しむというよりは、慌しく飛行場へ向かう姿が印象的だった。
NVA大会終了後、3:30PM からAFS USA-JPN Work Group の会議が始まった。
地図を使った出身地を含む自己紹介、今までのホームステイ、全米ボランティア大会の報告を行い、翌日の交流会に備えた。
4月18日(月)
朝食後、古川委員長による日本側のプレゼンテーション、アメリカ側のプレゼンテーションを行った。
日本の受け入れ基準は参加国の中でも最も厳しく、緩和してもらえないかという要望がアメリカ側から出た。
アメリカでは、カウンセリングを受けるのは肯定的に受け止められ特異なことではないが、日本の配属は困難とのこと。また、アフリカ系アメリカ人の派遣についても意見が出された。
学校に行かずに自宅で勉強するホームスクーリングも特異なことではないが、日本では理解されにくい。(不登校と思われる?)日本側からは、事務所が厳しい基準を設けているのは、支部員のホストファミリー探しの困難を軽減するためという意見が出た。服薬、メンタルヘルスサポートについても意見を交換した。
その他、早期帰国の原因、アレルギー、食事制限のある生徒の配属等に関しても、活発な意見が交換された。朝から晩までに及ぶ意見交換会で様々な意見が出たが、詳しくはアメリカ側の報告書を待って頂きたい。
●まとめ
今回の日米ボランティアエクスチェンジはプログラムの目的・意義の認識不足だった点を深く反省する。18日の意見交換会のアジェンダが配布されたのが前日で準備も出来なかったが、アメリカ側が何を望んでいるのか認識が甘かった。
アメリカ到着後、「AFSでの役割は?」と聞かれ、「支部長と、3月まで地域活動委員だったが、退任した。」と答えると「では、あなたはmake changeする立場にないのか?」と聞かれた。アメリカ側が望んでいるのは、日米の交換留学をよりよい方向にmake changeすることだと認識した。
最終日に体調不良で、長時間に及ぶ会議の参加が不満足だったのも反省点の一つである。
また、上記にあげた日米間の違いを理解したが、共通項も多く発見した。支部員確保の試行錯誤、AFS活動のモチベーションアップ、ホストファミリー探しの困難さ、なによりAFSに携わる人々の資質(前向きでエネルギッシュでフレンドリー)は世界共通であろう。
今回のプログラムは、これで終了ではなく、この体験を生かして、この先日米の交換留学の発展に生かしていかなければならないと思う。アメリカ側から報告書が出される予定であるが、日本側でそれを広く共有し、先に進んでいくのが重要な課題である。
また、アメリカ側に提出した申請書類に「AFS活動におけるあなたの目標は?」という項目があったが、支部員一人一人が自身に問いかけてみるのも意味があるであろう。
What would you like to achieve for AFS in the future?
最後に、このような貴重な体験ができたのもAFS活動に携わっていたからであり、心から感謝している。
この記事のカテゴリー: AFS活動レポート ボランティア体験談