AFSでは世界中で4万人のボランティアが活動していますが、国を越えて活動内容を共有したり、より良い活動を目指して意見交換を行うために、ボランティア・エクスチェンジを行うことがあります。
4月11日、日本から8名の代表ボランティアが渡米し、それぞれわかれて各地の支部を訪問した後、カンザスシティに集まり、アメリカの全国ボランティア大会に参加しました。 約1週間の滞在でしたが、同じAFSボランティアとして共感したり、お互いの活動から学んだりと有意義な機会となったことと思います。
以下に、滞在レポートをご紹介します。


学校生活について
(AFS大分中部支部 志賀志保子)

私は日本とアメリカの学校生活の違いに焦点を当ててみました。アメリカ派遣内定生の事前準備にこのレポートが役立つのであれば幸いです。

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日程:

4/10
ミズーリー州の東の玄関St. Louis着。ボランティア宅1泊
4/11
午前St. Louisエリア配属の日本人AFS生3名と面談
午後ST. Louisからミズーリー州の州都Colombiaに移動
4/11~15
Colombiaの郊外Hallsvilleにてホースステイ。
ホームステイ期間中、以下のHigh School5校とMiddle School1校を訪問。
Hallsville HS, Hickman HS, Columbia Independent HS, Butler HS, Calvary Lutheran HS, Hallsville Middle School
4/15~19
ミズーリー州の西の玄関Kansas CityにてAFSアメリカボランティア大会に出席

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Hallsville HS

テーマ:

アメリカのHigh Schoolは(小学校から数えて)9年生~12年生が在籍する4年制です。 9年生はFreshman、10年生はSophomore、11年生はJunior、12年生はSeniorと呼ばれています。日本からアメリカに留学するAFS留学生の殆どはJuniorに配属されることになるそうです。日本では登校すると、自分の教室に入る・自分の席に座る・担任の先生が来る、といった具合に学校生活が始まると思われます。ところが、アメリカではクラスルームがないのでその時限ごとに自分が履修している科目の先生の部屋に行って授業を受けます。授業が終わると次の授業の先生の部屋へ移動する必要があるのです。移動の為の休み時間は3~4分しかないので廊下は大変な騒ぎとなりますが、それもアメリカの高校の特徴的な風景ではあります。

日本の普通科高校では芸術で選択肢があるくらいでその他は必修科目というケースが多いと思います。ところがアメリカの多くの学校では必修科目(Required Subject)がそれぞれの学年に2科目課されているだけです。その2科目以外は選択科目なのでどんな授業を履修しても大丈夫ということになります。

まずは必修科目について説明します。Juniorの場合、必修科目は英語([1]English)とアメリカ史または政治([2]American History or Government)です。

[1]English:

多岐に渡っています。スピーチやディベートではロジカルな文章の組み立て方を勉強します。ティーンエージャーの英語は早くて分かりづらいのですが、Englishの先生はゆっくり分かりやすく言葉を選んで話してくれますので段々授業についていけるようになると思います。
訪問した学校ではJuniorからSophomoreの授業に留学生は変更してもよいとのことでした。
私が今回実際参加したSophomoreの授業のプリント(ロバート・フロスト:行かなかった道)を添付しておきます。その他の題材としてシェークスピアやフィッツジェラルドも多く取り扱われているようでした。

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Sophomoreの授業のプリント(ロバート・フロスト:行かなかった道) クリックで拡大

[2]American History or Government:

アメリカ派遣内定生は事前準備としてアメリカの歴史と政治について日本語である程度の勉強をしてから渡米することをお勧めします。
自分の頭の中に概念が無いことを外国語で学ぶのはとても大変なことです。概念があれば自分の知識の引き出しに英語を整理する作業をすればよいことになります。
今年は大統領選挙の年です。それなりの知識があれば2016年渡米組は11月の選挙の際、リアルタイムでその臨場感を味わえることにもなります。

次に選択科目です。
日本では必修のものやクラブ活動に属するようなものが選択科目として履修出来ます。理数系が好きな人は数学・物理・化学などを、芸術系が好きな人は美術・演劇・吹奏楽・合唱などをかためて履修することが出来ます。
体育はJuniorにとっては選択制ですが運動不足を避ける為に履修したほうがよいですね。クッキングや工作などの物作りの授業などは楽しいと思います。

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アニメのクラスにも参加しましたがアニメの国から日本人が来たと大歓迎でした。アニメの授業があるかと思えば大学の単位として認めてもらえるAP(Advanced Placement)コースの授業も高校で受けることができます。
公立高校でも立派なジムが完備しておりスポーツ志望の生徒は休み時間や放課後に利用させてもらえます。教育現場で生徒それぞれの特性を伸ばしてあげようとするアメリカの高校の多様性を体感することができました。

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ジム

追記)数学の授業では生徒は皆my計算機(約100ドル)を持っていました。先生の設問に対して正しく数字を入力すると座標軸に放物線が現れるというような計算機でUSBも入るタイプ。日本の生徒は最初扱いに慣れる必要があるとのこと。数学が得意な日本人留学生は「あれでは理解出来ていない生徒も正答が導き出せる」と不満げではありました。

日本人留学生のサポートを以前やられたことのある校長先生(※ページ冒頭写真)が、「日本の生徒は従順で秩序を守るので高く評価しているが、自分からやりたいことを言い出してくれない。言い出してくれなければどのようにサポートしていいか分からない」とおっしゃっていました。
空気を読むとか相手のことを慮るのは日本人の特徴ですが、きっと誰かが気づいて何かをしてくれるだろうと受け身でいては何事も前に進まないのがアメリカ社会です。自分のやりたいことやサポートが必要ならば必要ときちんと伝えることが重要だと再認識しました。その校長先生からは、「日本の留学生はTough Negotiatorになるべき」とのアドバイスを頂きました。

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カフェテリアの様子

今回の体験で感動したことはアメリカのボランティアが本当に献身的にAFSに尽くしていることでした。アメリカはボランティア大国でありAFSが根付いている国だと改めて気づかされました。この体験から勇気をもらった気がします。
最も心に残った言葉はボランティア大会でテーマに上っていたDiversity & Bias(多様性と先入観)です。人種・宗教・価値観の違う人々が折り合いを見つけて暮らす上で重要なキーワードだと思いました。自分自身が無意識のうちに持ち合わせている先入観にも気づくことが出来ました。
最後にこのワーキングチームの日本側の窓口になられた千葉さん、アメリカでお世話になったSarah, Elizabeth, Terri, Gayle、カンザスシティでご一緒した地活メンバーの和久さん、古川さん、上代さん、正木さん、内田さん、形山さん、岡野さん、素晴らしい体験をさせて下さった皆さんにお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。


この記事のカテゴリー: AFS活動レポート ボランティア体験談