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2012年12月1日(土)午後、「服部君事件から20年-銃社会アメリカのいま」が名古屋市のピースあいち主催で開催され、地元の方々や関係者など約100名が参加しました。

1992年、AFS39期生として米国ルイジアナ州に留学中だった服部剛丈(よしひろ)君は、ハロウィーンパーティーの訪問先を間違え、家主に射殺されました。事件から20年を経た今年10月、10年ぶりに米国を訪れたご両親の政一さんと美恵子さんは、服部君のホストファミリーのヘイメーカー夫妻とともに現地の教会で祈念式典を行いました。今回の催しは、この訪米の報告会として企画されたものです。

第1部では、服部君事件の加害者への尋問や、服部君のホストファミリーや友人たちによる証言、弁護士の意見などを交えたドキュメンタリー映画『世界に轟いた銃声』(1997年 米国)が上映されました。本映画は、監督のクリスティン・チョイさんと服部君のご両親が、ワシントンDCの連邦議事堂前に全米の年間銃犠牲者3万8000足の靴を並べた「サイレントマーチ」(1994年/サイレントマーチ委員会)で知り合ったことをきっかけに制作され、字幕制作には早稲田大学の学生など多くの方が協力しています。

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第2部は、訪米に同行した名古屋市立大学の平田准教授のプレゼンテーションに、ご両親が感想やコメントを述べる形で進行されました。
1枚目のスライドに映し出されたのは、ご両親とホストファミリーのヘイメーカー夫妻が再会した瞬間の写真。再会を喜ぶ温かい雰囲気に満ちたこの写真は、アメリカの地元紙の一面を飾りました。美恵子さんは、「ご夫妻とは当初から、事件は悲しいけれど楽しい気持ちでやっていこう、これは平和の運動だからと話していました。今回の祈念式典も、私たちの意向に沿ったものをと尽力してくれました。本当に感謝していますし、全幅の信頼を寄せています」とコメントしました。

式典ではスピーチのほか、ルイジアナ州立大学の学生による詩朗読のパフォーマンスや、「世界中のYOSHI君のお母さんへ」の日本語での合唱など様々なプログラムが企画され、また、ルイジアナ州バトンルージュのホルデン市長よりサプライズで名誉市長の称号を贈られるなど、今回の訪米はとても満足のいくものであったと感想を述べられました。

式典の報告に続き、アメリカ銃社会の現状の報告では、現代アメリカにおける銃規制法、銃規制に関するアメリカ国民の意識などの資料が配布され、政一さんからは「アメリカ全体では銃の犯罪率は下がっているが、個人が銃を持つ権利意識は強まっているように感じる。しかしそもそも銃で身を守ることが本当にできるのか、それ自体が信じられないし、銃がないと身を守れないと思っている人に、日本を見て欲しい」とコメントしました。

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ご両親は「銃のない日本の社会をアメリカの若者に見てほしい」という思いから、服部君の傷害保険を原資とした「YOSHI基金」という奨学金を発足させ、1994年より毎年、AFSで日本に留学する米国人高校生に支給しています。今年8月、20人目のYOSHI基金奨学生として来日したイヴォンヌ・バナルジーさんも今回の報告会に出席し、「一人ひとりが努力する必要がある。銃を持とうとしなければ、そこに銃はない。被害者を減らすことは偶然には手に入らない。私達の努力にかかっている」と力強いスピーチを行いました。

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最後に美恵子さんは「20年間色々な活動を行ってきたが、人と人との交流こそが本物の平和を生むのだと思う。これからYOSHI基金を中心に、国際交流に尽くしていきたい」と述べ、本会を締めくくりました。

事件と20年間の活動、YOSHI基金については、2012年11月発行の『AFSNEWS136号』でも特集でご紹介しています。YOSHI基金へのご寄付は常時受け付けていますので、皆様からの暖かいご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

AFSNEWS136号(PDF/4.92MB)
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