立教大学大学院 特任教授
(AFS10期生 1963年~1964年)
上智大学卒業。コロンビア大学大学院修士課程修了(MA)、サウサンプトン大学大学院博士課程修了(Ph.D.)。国際会議同時通訳者を経て、現職。
言語コミュニケーション論、通訳学、翻訳学、英語教育学の分野で多数の著書論文を発表。
NHK『ニュースで英会話』では講師・英語監修を務める。
—AFSでの留学経験はその後どの様に生きていますか?
高校生の1年間のホームステイ留学というのは、毎日が異文化理解と異文化コミュニケーションの連続です。そこで異質なものと折り合いをつけていくためには、全部相手におもねいて真似してしまうのではなくて、自分はもったまま、オープンな心で相手を引き受けるということが必要です。
「ここから何か生まれるのではないか」と、違いを楽しむ心をAFSの経験者はみんなもっていると思います。AFSの仲間は、横(同期)も縦(先輩後輩)も仲が良くて、その関係は今もまだ続いているのですが、その仲間を見ていると、異質なものに対するオープンな心や、コミュニケーションを大事にしてきちんと意見を言うという共通点があります。それは高校時代の1年で身に付けた、目に見えない宝だと思いますね。
AFS体験は、その後どのように生きているか(動画メッセージ)
—AFSならではの魅力は何だと思いますか?
昔も今もAFSが非常にいいなと思うのは、オリエンテーションがしっかりしていることです。私のときは御殿場(静岡県)で泊まりこみのオリエンテーションを受けました。そこで先輩たちが「アメリカに行くとこんな風に違う、だけどここでめげてはいけない」「こんなことがあるけど驚かないように」と教えてくれるのです。そうすると若干不安な気持ちにもなるのですが、思っていたより楽しいばかりではないんだなということがわかって、相当色々な準備ができてから行ったので、実を言うとそんなにショックを受けたということはありませんでした。
高校生で西も東もわからないまま外国に行くと、学校制度の違いはもちろん、「まだ高校生」と大事にしてくれる温かな日本社会と、「高校生はもう大人」と突き放されるアメリカ社会という、高校生に対する態度の違いに直面します。そのような私自身の体験もあり、やはりオリエンテーションはきちんとしている必要があるなと思いましたし、その意味では本当にありがたかったです。
—グローバルに活躍するために必要な素質とは何だと思いますか?
これからのグローバル世界のリーダーとして重要な素質というのは、異質なものに対する開かれた心、そして異質なものに対しても積極的にコミュニケーションをとって人間関係を構築していくことができる、という2点だと思います。AFSの場合は、それをオリエンテーションの段階から、直接的には言わないかもしれませんが、様々な角度から伝えて送り出します。そして送り出された生徒は海外で一生懸命暮らして、帰ってきたときにはその2つを身につけているのです。
これは、これまでAFSで留学した人を見ていくと、答えが明確にでると思います。実際皆さんリーダー的なポジションにつかれて、グローバル世界をひっぱっていらっしゃいますよね。やはり理念をもって人材を育てようとするAFSという団体の思いが、細部に至るまで滲んでいるのだと思います。それによって参加者は相当栄養を吸収して、グローバル人材としてふさわしい資質を備えた人材に育っていくのではないかと、私はみています。
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