東京大学 理事
(AFS21期生 1974年~1975年)
ハーバード大学ビジネススクールにてMBA取得。
ソロモン・ブラザーズ等の外資系企業勤務を経て、2001年にハーバードビジネススクール日本リサーチセンター長に就任。2009年より現職。
—AFSでの体験はその後のキャリアでどのように生きていますか?
私は大学で国際関係論を勉強し、その後は外資系の金融機関、ハーバード大学、そして東京大学と、日本と海外の架け橋になるような仕事をしてきました。ビジネスと大学は違いますが、お互いに得られるものがあるように交流を促していくことが重要だと思いましたし、実際私は日本と海外の人たちを繋ぐという役割が多く、その原点はAFSの体験であったと感じています。
また、私のホストマザーは看護師でしたが、仕事をしながら、彼女自身の子供のことも私のことも世話をしてくれました。仕事をしながら子供も育て、生き生きと働いている姿はとても印象に残っていて、彼女と仲良くなれたことが、色々な意味で今の私に影響に与えていると思います。
AFS体験がその後のキャリアにどのように生きているか (動画メッセージ)
—グローバルに活躍するために必要な素質とは何だと思いますか?
異文化力やコミュニケーション能力はとても大切だと思います。そのほかには、論理的に自分の意見を説明できることや、自分の意見をしっかりもっているということも重要です。外国の文化など「違ったもの」を理解することは、自分との比較において理解するということなので、まず自分自身をしっかりもっているということがとても重要になります。それから、今のように変化が激しい時代には、変化に対応し、判断できるような理解力や幅広い知識・教養が必要だと思っています。それによって、新しい課題に遭遇した場合に、どのように解決したらよいか、どのように整理していったらよいかがわかると思います。
—AFSならではの魅力は何だと思いますか?
AFSは英語圏だけではなく、色々な国とマルチに交流をしていて、今の時代に非常に重要な「多様性」を育むことができる点が優れていると思います。グローバル時代にどのような人材や素質が必要かという議論では、異なる文化に対応できる能力を持っていることだとよく言われます。私の場合は、自分が慣れ親しんだ文化とは違う国や世界に行っても、自分自身でいられる、心の平静を保っていられるという能力を、AFS体験を通して身につけることができたと思っています。
ハーバード大学のビジネススクールでは、グローバル・イニシアティブという、世界各国のリサーチセンター長などが10名ほどいるところで仕事をしていましたが、その中にAFS関係者が3名ほどいました。アメリカはもとより、いろんな国でグローバルな人材を輩出するきっかけになっているのだと強く感じました。
—留学を考えている人に、メッセージをお願いします。
せっかく日本と違う世界に行くのであれば、その国の社会・文化・考え方をしっかり理解して、そこに溶け込んでほしいと思います。現地の高校で勉強する、課外活動に参加する、友達と遊ぶといったことは、どれも重要な体験になりますので、ひとつひとつに真正面から取り組んでほしいと思います。
今の高校生は、受験勉強が心配だからと海外に行く機会を掴まなかったり、大学に入ってからで良いと考える人が多いと聞きますが、それはとてももったいないことだと思います。感受性が豊かなときに海外に行くことによって理解できること、得られるものはとても大きいので、チャンスを生かしてほしいと思います。
私自身も高校3年生でアメリカに行ったので、不安もあって2冊ほど受験参考書を持っていきましたが、結局一度も開きませんでした。現地の生活に溶け込むことで得られるものは、受験勉強で得られるものとは全く違い、さらに価値の大きいものです。受験のことは心配しないで、大きく成長してほしいと思います。
この記事のカテゴリー: AFS体験 その後の進路・活動 アメリカ
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