2019年8月21日(水)~24日(金)の3泊4日間、東京・代々木の国立オリンピック記念青少年総合センターにて、AFS初のサマースクール「異文化理解サマースクール」を開催しました。
キーワードは「SDGs」。SDGsとは、国連で採択された2030年までに達成すべき「持続可能な開発目標」のこと。例えば、貧困やジェンダーなどの格差や環境問題など、住みよい地球を次世代に残していくために直面している課題は数多くありますが、これらの課題には様々な立場の人々が複雑に絡み合い、ひとつの国やひとつの考えだけでは解決しえないものばかりです。
長年、留学プログラムを通して異文化理解教育を行ってきたAFSは、「一人ひとりが異文化対応力を身に着けることが、SDGsの前進に貢献する」という信念のもと、これまでの活動の知見を活かして、未来を創る次世代の若者に実践的・経験的な機会を提供しようと今回のイベントを企画するに至りました。
そして迎えた初日。日本全国から、中学1年生〜高校2年生までの参加者57人が集まり、顔を合わせました。最初は緊張している様子でしたが、大学生スタッフと話したり、様々なアクティビティを行ったりする中で、徐々に年齢や出身地のギャップを埋め、真剣な様子や心から笑い合う様子が見受けられるようになります。
2日目は、まず世界に生きる人々の格差を知り、それに対して何ができるかを考えるアクティビティを行いました。それぞれが与えられた役になりきり、その人がどういう人なのかを想像したロールプレイを通して、隣に暮らしている人から地球の裏側に住んでいる人まで、地球市民の一員としての役割を考えました。体を使ったこともあり、参加者の中に特に印象に残ったアクティビティとなったようです。
午後には、AFSプログラムで日本に来ている外国の高校生31人が加わりました。参加者は世界14か国からの留学生に出会い、最初は戸惑っている様子もありましたが、同じ年代同士という安心感もあり、徐々に打ち解けていきました。
その後は、高校留学を経験した大学生による差別や格差問題についてのセッションを行いました。実際に海の向こう側で起きている課題をスタッフの実体験から紹介することで、参加者にも、これらの問題は他人事ではないということを感じてもらえたことと思います。
3日目には、異文化を体験できるブース・セッションを行いました。架空の文化を持つ島で現地人に扮した大学生スタッフと交流するというアクティビティです。未知の文化の中で、どのように振る舞えばいいのか、どのような姿勢が必要なのか身を以て体感してもらいました。
その後、このサマースクールでどのようなことを学んだのか、SDGsで設定されている課題に照らし合わせながら日本人参加者にまとめてもらいました。各班に分かれて、主体的に振り返りながら、3日間の学びのアウトプットを行いました。
「ファミリーマートのTポイントカードにおける外国人差別問題」や「学校での性差別」など、日常に溢れる様々な格差の話題が飛び出し、中高生らしい柔軟なものの見方に、大学生スタッフも刺激を受けることができました。
最後の夜は立食パーティー。国も年齢もバラバラな参加者が、身振り手振りを交えながら笑い合う姿に、小さな「世界平和」を見ることができた気がします。
そして最終日。初日と比べると、参加者一人ひとりの目はより輝いてみえました。様々な「違い」を持つ中高生が同じ土俵に立ち、世界の課題を話し合う。自分たちに何ができるかを考えぬく。彼らの今後の長い人生の中の、ほんのわずかな4日間でしたが、一つのターニングポイントになったのではないでしょうか。
無事に全日程を終え、参加した方々からこんな嬉しい声が届きました。
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「自分たちにとっての当たり前が、他の地域では捉えられ方が違うこともあるということを身をもって知れた。その国や地域の文化を尊重して接していけるようにしたい」
「私はリーダとかやる方ではなかったが、世界をよくしていきたいのであれば、自分の思っていることをどんどんやっていかなければ、世界は変わらないことに気づかされた」
「SDGsは 一人ではできないものなので、誰一人残す事なく世界中の人々がこれについて共有しなければならないと思う。そのために、まずは小さなコミュニティから情報を発信して、共有した人たちがその情報を発信することを繰り返すことが大事。情報を得るために、留学などを通じて世界の現状を把握することが私たちにできることだと思う」
「自分はまだ世界のことを何も知れていないと痛感した。もっと留学生の人や外国の人とコミュニケーションを取り、また留学や旅行で現地へ赴き、その地域の現状や課題を身をもって感じ取りたい」
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私たちが生きる地球には、まだまだ解決するには程遠い課題がたくさんあります。私たちに今できることはなんでしょうか。
まずは知ること。そして考えること。無知を自覚し、自身の力を高めて蓄えること。近道はありません。まだ、私たちに地球の明日を担うことはできません。いずれ、社会に出たときに、地球の裏側に暮らす誰かを笑顔にできるように、世界に溢れる様々な違いに触れ、それに対して敬意と親しみを持てるような共感力を養っていくことが最も大切なことだと思います。
今後も様々な経験をして一回りも二周りも成長した参加者の皆さんに、いつの日か会えることを楽しみにしています。そのときには、地球市民として、ともに行動を起こしましょう!
今回、初めての試みとなった異文化理解サマースクール。手探り状態で始まりましたが、素晴らしいイベントとなったのは参加者の皆さんの主体的に考える姿勢と、どのようなものにでもワクワクできる素直な好奇心に他なりません。参加していただき、本当にありがとうございました。
また、このイベントを運営するにあたりご協力いただいた皆さまに、スタッフを代表して心より御礼申し上げます。
学生責任者 椿原萌
この記事のカテゴリー: 国際交流キャンプレポート